期限2年が前提の仮設住宅―環境も利便も耐久性も「2年超」想定せず
開成団地で2年前に「仮設を出るのを心待ちにしている」と訴えていた57歳の女性は、今回の聞き取り調査に「3年経ってもまだここにいるかと思うと無気力なりますね。早くここを出たいです」と訴える。「落ち着く住まいが欲しい」と訴えていた46歳の女性は「ストレスがかなり大きくなってきていると感じます。子どもが突然『なぜここにいなきゃいけないの』と叫ぶ。自分も体調が悪くなってきています」ともはや限界に達している状況を話す。
貯蓄が10万円以下になり、自宅再建をあきらめ市の復興住宅を待ち続ける女性(41)は、夫が石巻を離れて働きに出ているため、ひとりで3人の子育てに追われている。そこへ今年1月(2014年)に市から届いた知らせを見て愕然とした。申し込んでいた建設予定の復興住宅7戸に38世帯が応募しているという。生活苦のために、同じように自力で家の再建をあきめる人が増えているのだ。仮に当選しても、入居できるのは1年半後という辛いおまけまで付いた知らせだった。
国谷裕子キャスター「仮設住宅には多くの悩みがあるわけですが、さらにこれから2年、3年と続くかもしれないとなると、生活改善が大きな問題になりますね」
住宅政策が専門の神戸大大学院の平山洋介教授がこう解説した。「仮設住宅はもともと2年が期限で作られています。2年我慢して下さいという環境でしか作っていないんです。それを更新して3年、4年になってきますと、だんだん辛くなってくる。仮住まいなんですが、3年、4年となると少しでも穏やかに暮らせるような改善が必要です。具体的には住民の皆さんと自治体で相談し子どもの遊び場や交通網の整備とかが必要です」
国谷「被災地の人口が流出する一方で、復興住宅への入居希望者が急増しています。そうした変化のなかで住宅再建計画にズレが生じてきています。これをどう処置していくのか、そのプロセスはどうあるべきなんでしょう」
平山教授「基本的に大事なのは被災された一世帯、一世帯がどういうふうにしてもらいたいのか、きちんと把握してその積み重ねとして、政策や計画をつくっていくことが大事です。被災者の意向から離れたところでいろんなことをやっても、空き家になったり空き地が増えてしまう。被災者の意向をベースにするのが被災者にとっても計画の合理性にとってもいいと思います」
震災4年目に入った現在、国や自治体が被災者の実態を把握し直している話は聞かないし、被災地の変化に合わせて復興計画を見直す話も聞かない。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年3月12日放送「『仮の住まい』のはずなのに…~被災地 震災4年目の課題~」)