国際政治で通用しない「河野談話」撤回―「安倍首相は外交の素人」と見られるだけ
慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話(河野談話)をめぐる日韓の紛争が広がりそうである。安倍政権が河野談話の作成経緯を検証するという方針を打ち出したことに強く韓国が非難している。
興味深いのは、保守系週刊誌の中でも、このことについての論調が分かれていることである。週刊文春は「『慰安婦デタラメ報告書』を独占公開」と題して阿比留瑠比(あびる るい)産経新聞政治部編集委員が批判しているが、要はこういうことである。<河野談話に至る諸調査は韓国側の要請に基づいて始まり、談話の細かい字句・表現に至るまで韓国側のチェックの上で決まった。いわば最初から韓国側が主導権を握っていた『日韓合作』の談話なのである。河野氏は潔く国会の場で、事実を語るべきだ。
一方、韓国にとっては、宮沢政権という情緒的でナイーブな政権をうまく利用して勝ち取った対日関係における歴史的な外交的勝利だったのだろう。道徳的に日本の優位に立ち、自国の正義を主張するための切り札なのだ。だからこそ、安倍政権の検証方針が許せないのである>
これに対して、『週刊ポスト』は河野談話を批判しながらも、撤回したら何が起きるのか安倍首相はわかっていないと書いている。週刊ポストは河野談話の見直しをするべきではないと主張しているのではない。その内容には数多くの事実誤認があり、国際社会に旧日本軍が慰安婦を強制的に「セックススレイブ」(性奴隷)にしていたという誤った認識を与えた責任は重いとしている。
しかし、<ここで最も重要なのは、河野談話の作成にあたって、日韓の政府が文面について事前に交渉行い、外交的妥協の産物として発表されたという指摘だ>(週刊ポスト)とする。