春から夏にかけてはマダニの被害がピークとなる。マダニは家の中にいるダニ(塵ダニ)とは違い、「身近な庭や草むらに生息して動物の血を吸って生きています。大きさは3ミリから8ミリ。マダニに噛まれると感染症を引き起こして死致率が3割と非常に高いんです」(瀬田宙大アナ)
昨年(2013年)は40人がマダニに噛まれて感染症にかかり、13人が死亡した。今年もすでに2人の感染が報告され、1人が亡くなっている。マダニの被害は西日本だけでなく、中部、関東、東北、北海道にも広がっている。とくに、4月から増え始め、5月がピークで8月頃まで続く。陽気が良くなって、アウトドアレジャーや山菜取りに出掛ける人が増えるためだ。
1週間の潜伏期間後に発熱や下痢・嘔吐
国立感染症研究所の西條政幸・ウイルス第1部長は警告する。「マダニが媒介するのがSFTSウイルスです。噛まれた時は気が付かないが、1週間程の潜伏期間の後に発熱や嘔吐、下痢の異常症状が出て来ます」
徳島県の山本正雄さんは昨年5月、畑仕事をしているときにマダニに噛まれたが気が付かなかった。風呂上りのときに妻の栄子さんが脇腹が赤いのに気づき、よく見るとマダニが動いていた。ダニを取り除いた翌日から発熱、嘔吐、下痢の症状に襲われた。
駆け込んだ東徳医療センターで血液検査を行うと、白血球と血小板の値が急激に減少していた。SFTSウイルスの感染が疑われ、大学病院に移送され抗ウイルス剤の投与などで完治に2週間が必要だった。奥さんは「新聞などでマダニのことを知っていたので、もしやと思ったんです。死ななくてよかった」