東日本大震災と東京電力福島原発事故から3年になるが、岩手、宮城、福島3県で仮設住宅の入居者数はいまだ9万6842人にもなる。仮設住宅戸数5万2879戸のうち入居戸数は4万4096戸で入居率は84%と高い。阪神淡路大震災の3年後の入居率は54%だったから、今回の被災者がいかに故郷に帰れない状態に置かれているかがここからもわかる。
阪神淡路大震災3年目に比べいまだ高い入居率
福島原発事故で避難してきた大熊町町民160人が暮している福島・合津若松市にある松長近隣公園の仮設住宅は、まだ雪が高く積もり冷たい吹雪の日もある。あるお宅を見せてもらうと、玄関の天井は黒いカビがびっしりで、台所、押入れの天井も水が滲み、今にも水滴が落ちてきそうだ。原因は大量の結露という。結露のほかに雪の重みで歪みができ、屋根の隙間から室内に水が入ってきているらしい。
仮設住宅の湿気のひどさは岩手・山田町の仮設住宅も同じだった。入居当時から結露がひどく、白いカーテンは黒色のカビが付き、窓を拭くのが日課という。2年前からは家が歪んで扉に隙間ができ、冬は冷たい風が入り込んでくる。
宮城県で最も多い7122戸の仮設住宅がある石巻市の大森第3団地には200戸320人が住むが、もとは水田だったため地盤が弱く、家の傾きが半端じゃない。住民から健康被害の報告を受けた石巻市は、住民を別の仮設住宅に移し改修工事を行う予定だ。しかし、住民の中には「別の場所に移るとコミュニティーをつくるのに時間がかかり精神的に大変だ」と移転を拒む声も多いという。
文
モンブラン