「信じたいが、これだけデータの間違いが出てくると、信じ続けることが難しい」
画期的な発見と世界を驚かせたSTAP細胞の信頼性がにわかに揺らいできた。きのう10日(2014年3月)、共同研究者で論文執筆者の1人である若山照彦・山梨大学教授が記者会見でこのように語り、論文を取り下げるよう呼び掛けた。
写真使い回しや他人の論文と似た記述
STAP細胞については、今年1月(2014年)に英国の科学誌『ネイチャー』に論文が掲載されてから、作成者の理化学研究所の小保方晴子さんの博士論文の写真と酷似した写真が使われていることや、他人の論文と同じような記述があることが指摘され、最近は万能細胞作製の再現性に疑問があるという声も上がっていた。
若山教授はこれまで「初歩的なミスではないか。STAP細胞をつくったという成果に揺るぎはない」と擁護してきたが、STAP細胞から体の他の部分に分化したという証拠となる写真が、時期も異なる別の実験のものだとすれば、根幹にかかわる極めて重要な問題だとして、「信じたい気持もあるので、いったん取り下げて、もう1度、間違いのないデータを使って提出した方が成果の価値を高めると判断した」と取り下げを提案した理由を説明している。
1分1秒でも早い者勝ち!論文発表急ぎ過ぎた?
キャスターのテリー伊藤がコメンテーターの香山リカ(精神科医)に素朴な疑問を投げかける。「世界中に研究者がいっぱいいるので、ばれることじゃないですか」
香山「こういう研究は世界中で競争のようにやっていて、1秒でも早く結果を出した人が勝ちなわけです。『結果が出たかも』と思った時点で、何度も何度も確かめて裏付けが取れたところで論文にすべきだったと思うのですけれど。もしかしたら、論文にするだけの十分な材料がそろっていなかったのかもしれませんね」
「リケジョ」ブームにも発展し、再生治療の夢を広げてくれたSTAP細胞だけに、きちんとした調査結果を待ちたい。