東日本大震災から3年目を前に安倍首相は10日(2014年3月)に記者会見を開き、「次の3月11日こそは、もっと多くの方に新たな住まいで迎えていただきたい。これからの1年は被災地の皆さんが復興を実感できる1年にしていく」と語った。
復興の遅れから不自由な仮設住宅で暮す人が岩手、宮城、福島の3県でまだ10万人、避難住民は26万人だ。原因は用地不足、人手不足、資材不足。復興住宅の建設は計画の3・3%しか完成していない。これがたった1年間で実現できるとはとても思えない。
福島原発「汚染水流出」コントロールどころか打つ手なし
安倍は復興の具体的な施策を示さないまま話は飛んでしまった。「来年のゴールデンウイークまでに、常磐自動車道(埼玉県三郷市-宮城県亘理町)を全面開通する」「子どもの心のケアのために、これまで実施してきたカウンセラーを復興住宅にも巡回訪問させる」「2020年の東京五輪で東北の復興を成し遂げた姿を世界に発信していく機会にしたい」と大風呂敷を広げる。
常磐自動車道の全面開通には、福島第1原発が近く、空間放射線量が高くて立ち入りが厳しく制限されている浪江―常磐富岡IC間を含む。汚染水垂れ流しが絶えないなかで、全面開通が可能なのかどうか。その汚染水流出について、「完全にコントロールされている」と安倍は言っていなかったか。復興の現状は、どうみても難題先送りのための方便としか受け取れない。
まったく手が付けられていない福島
司会の井上貴博アナがこれまでも被災地に足を運んできたコメンテーターに感想を求めた。スポーツプロデューサーの三屋裕子は「復興、復興といわれますが、片づけが終わったのは1年以上たってからですよ。ようやく復興の兆しが見えてのがここに来てだと思います」という。
TBS解説・専門記者室長の杉尾秀哉「たしかに動き始めているのですが、復興はこれからだなと感じますね。このあいだ三陸を見てきたんですが、陸前高田の高台を削ってベルトコンベアで土を運び盛り土を作る現場では、ベルトコンベアがようやくできた段階でした。とくに、福島ではまったく手がつけられていない」
安倍は計画をいろいろ並べるが、笛吹けど踊らずなのか、踊り方が分からないのか、遅々として進んでないのが今の復興のありさまだ。