アメリカが作った戦後民主主義体制の否定を警戒
日米関係が安倍首相のタカ派発言で悪化しているという記事が増えてきている。週刊ポストによれば戦後最悪だという。米国は中国や韓国、靖国参拝にだけ怒っているのではない。早稲田大学大学院・春名幹男客員教授はこう語る。
<「米国の怒りの理由はもっと基本的な問題にある。東京裁判は米国が主導した裁判であり、戦後の世界秩序を形づくる起点と考えている。『A級戦犯は国内法的には戦争犯罪人ではない』と主張する安倍首相が靖国に参拝することは、突き詰めれば米国が作った戦後体制を否定するということになります」>
週刊ポストはそれにしても日本政府要人たちの失言は呆れるばかりであるという。国務省関係者が憤る。<「極めつきは萩生田光一総裁特別補佐の『民主党政権だから、オバマ大統領だから(靖国批判を)言う』との発言です。『共和党政権を望んでいる』と言ったのも同然でオバマ大統領の面子は丸潰れですよ。『何の実も得られない日本にどうして行くのか』『訪日を取りやめろ』といった声が飛び交っています」>
ロシアのプーチン大統領と接近することも米国側をイライラさせているという。7日(2014年3月)の夜に友人の出版記念会があった。そこで外交評論家の加瀬英明さんに会ったので、日米関係は相当悪いようですねと聞いてみた。彼は「相当どころかどうしようもないですよ」といったが、それに続けてこういうのである。「日本にとってはいいことですよ」
この意図するところを聞こうと思ったが、お互い急いでいたので聞きそこなった。勝手に解釈すれば、加瀬さんは「新しい歴史教科書をつくる会」の主要メンバーでもあるから、安倍首相が「戦後レジームからの脱却」をいい続けているのと同じように、アメリカの隷属から解き放たれるいい機会になるということなのだろう。
しかし、安倍首相にはそれほどの覚悟はないと思う。TPP参加や集団的自衛権の容認などアメリカに媚びを売っているのに、オバマが自分のことを評価してくれないことにいらつき、だだっ子のように戦後レジームからの脱却といってみたり、あの戦争を侵略だと決めつけたのは戦勝国側だと主張してみたりして、アメリカをいらつかせているだけなのだ。