国は原発周辺自治体に丸投げ!非現実的な段階的避難前提に計画作り
福島の教訓を生かそうとしている自治体もある。福島・南相馬市は東電福島第1原発の廃炉作業で事故が起きる事を想定し、避難の際の渋滞を緩和するため市内を3つに分け、宮城、山形、新潟3県に分散避難させる計画を打ち出している。ただ、桜井勝延市長は受け入れ先の自治体との調整を一自治体だけでするのは難しいと、国に次のような注文をする。
「受け入れ先との協定ないし約束事を、国がしっかり関与してあらかじめ作っておく。そうした支援を国が確実にやる必要がありますよ。自治体の首長が1人で市民、住民を誘導するのはほぼ無理です」
政府の東電原発事故調査・検証委員会のメンバーの1人だったノンフィクション作家の柳田邦男氏はこう言う。「まず地域防災計画を地域の特性に合よう綿密につくる必要があります。それを住民一人ひとりに徹底し、実際に避難できるかどうかを全員参加の訓練で試さないといけない。さらに、いざ事故が起きたときに、正確な避難情報、指示をキメ細かく伝えること。病院や福祉施設の体の動かない人をどうするか。さまざまな問題をクリアできて、はじめて計画が意味が持ってくるんです。
国の防災計画は具体的なものは自治体に任せる丸投げ的なところがあります。原子力プラントの安全性を技術面だけで裏書してよしとするのでは、見えてこない部分があります。自治体に丸投げするのではなく、国がもっと本質的な部分にまで積極的にかかわらないといけないと思いますね」
国谷裕子キャスター「事故発生以来3年が経っているのに、そうした避難計画になっていないような気がします」
柳田「そういうところに踏み込まないで、技術論だけで再稼動するかどうかの結論を出してはいけないということが、3年目にしてようやくはっきり表に出てきた感じがします」
1枚の写真は、教訓を生かすことなく原発再稼動を急ごうとする政府、電力会社への厳しい問題提起だった。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年3月5日放送「原発事故にどう備える 検証 避難計画」)