河野談話当時の副官房長官「『未来志向の日韓関係』韓国も納得してたはずなのに…」
週刊文春は河野談話(1993年8月・宮沢改造内閣の河野洋平官房長官=当時=が慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話として発表したもの)の見直しを支持する世論が6割近くになっている報じている。2月20日の衆院予算委員会に参考人として石原信雄元官房副長官が出席して、河野談話に関する質問に答えたが、週刊文春はその石原氏にインタビューしている。
<「河野談話を出した直後は(日韓関係は)おさまっていたのに、後になって韓国側が(米国各地に)慰安婦像を作るとか、米議会に働きかけて対日非難決議をさせるなどの根拠になるとは、当時は全く想定していなかった。苦渋の決断として、未来志向の話をしようという中で、良かれと思って出した談話ですから、韓国側にも未来志向を持ち続けて欲しかった。そういう意味で、私はかかわった者として、非常に残念だというのが率直な気持ちです」>
『週刊ポスト』は朝日新聞が2月11日に「週刊誌は売れるから嫌中憎韓記事を連発している」と書いたことに反発し、慰安婦問題や南京大虐殺、靖国参拝を報じて中韓へ「ご注進報道」し、三国間の関係をおかしくしているのは朝日新聞自身ではないかと反駁している。
これほど週刊誌が挙って、中国はもちろん、韓国批判をするというのは私には記憶がない。少し前、韓国メディアの取材に対して、私も「反中、反韓記事を煽るのは読者がいるからだ」と話したことがある。週刊誌は今の世の中に広がっている「空気」をすくい取り、誌面化して読者に手渡すことが役割だから、そうしたムードが日本の中にあるのは間違いないが、それを煽るうちに自分たちが思う以上に国内の反中、反韓気分が高まって、「気分は戦争」から「戦争しよう」へと突き進んでしまわないか心配だとも話した。まさしく今週の週刊誌を読んでいると、私の心配を遙かに超えてきているように感じてならない。
少し前に韓国人で日本に帰化した呉善花さんと話をした。呉さんは激しい韓国批判をすることで知られる人で、安倍首相とも会ったことがあるといっていた。彼女は、韓国人は祖先の恨みを忘れないことが一番の孝行になるから、日本人のように水に流すなどということは韓国人にとって恐ろしいことで、日本への恨みを忘れることは決してないと語った。
では、どうしたら日韓は歩み寄ることができるのかと問うと、彼女は、日本からペコペコ頭を下げていくと韓国人は馬鹿にするから、放っておいて向こうが困って来たら話し合いに応じればいいというのだ。私が「週刊ポスト(2月14日号)でウルトラ保守の小林よしのり氏がこういっている。『安倍首相の靖国参拝というのは国際感覚の欠如した幼稚な排外主義、ナショナリズムだ』と。安倍さんだけではなく、朴大統領も同類だと思うのですが」と聞くと、呉さんは、それは小林よしのりさんの考えでしょ、靖国にしても何にしても、日本は日本ですという毅然とした態度を見せたほうが、今は反発するかもしれないけど、結果としては絶対いいんですといい切った。
だが、私には今のような日韓関係がこのまま続くのはいいことではないと思う。安倍首相と朴大統領の「幼稚なナショナリズム」が国民の中にまで広がりを見せている状況を打開するためには、石原元官房副長官のいうように、未来志向の話をするために、大人の解決方法を見つけ出すのが政治・外交ではないのか。 ガキのように批判し合って、歩み寄る努力をしない政治家ばかりになってしまった。周恩来と田中角栄が日中国交正常化するとき、尖閣諸島問題を『棚上げ』したような大人の解決ができる政治家はいないものか。