特別機で帰国したソチ五輪日本選手団139人は、成田空港で約900人ものファンに迎えられた。メダリストは文部科学省へ直行したが、フィギュア女子の浅田真央選手は外国特派員協会での会見に臨んだ。海外のメディアが今大会最高のドラマを演じた彼女に目をつけたのはさすがだ。
海外メディア相手に巧まざるユーモア
浅田は日本語で「お集りいただいて有難うございます。メダルを持って帰ってこられなかったことは、いまでもとても残念ですし悔しい気持ちでいっぱいです。きょうはよろしくお願いします」と挨拶して会見が始まった。
出席した約170人にスポーツ記者はほとんどいない。だからズレた質問も出た。「日本と韓国が関係改善するためにはどうすればいいと思うか」「アラビア語で『アサダ』はメスのライオンのこと。アラブ世界にはスケートはない。転ぶと痛そうだ」……
さすがに戸惑いをみせた浅田だったが、笑顔を絶やさず「私からは(日韓関係に)何かいうことはできません。キム・ヨナ選手とはライバルですが、リンクを離れれば友だち」「たしかに、突然転ぶとめちゃくちゃ痛いですよ」と巧みに切り抜けた。お見事。
そして、ようやくそれらしい質問。「トリプルアクセルにこだわっているようだが、違う方法でメダルを追求しようと考えたことはないのか」
これには「小さいときから伊藤みどり選手に憧れて、次を継ごうとずっとトリプルアクセルに挑戦してきました。私自身を強くもたせてくれ、成功したときは本当に達成感でいっぱいになります。今回もそれが一番の見せ場なので、外すわけにはいかなかったのです」
フリーの完璧な演技について、「素晴らしい成果を出して涙を流す前に、自分に何か話しかけたのか?」
「前日のショートで気持ちもどん底まで落ち込んでいたので、不安や恐怖心はあったんですけど、それを乗り越えての結果だったので、ホッとしたのと嬉しさで最高の気持ちでした。本当は笑顔がよかったんですが、前日の気持ちも消えてなかったので、泣いてしまいました」