殺人暴走の大野木亮太「一種の自殺」自分はすごい不幸、損しているという思い込み

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「簡単に説明できることではない。ひとつやふたつの理由ではない」

   名古屋駅近くの交差点の歩道をレンタカーで暴走し13人に重軽傷を負わせたとして、殺人未遂の現行犯で逮捕された大野木亮太容疑者(30)は、動機についてこのように供述しているという。近所の人に「頭を怪我したとき病院に行かなかったため今も定職につけない」などと話しており、背景には複雑は事情がありそうだ。

家族が次々別居「親に捨てられた、見放されたと思ったかも」(近所の男性)

   大野木は名古屋駅から約2キロの大通りに面した3階建ての一軒家に1人で住んでいる。近所の話では、もともとは祖母、両親、弟の5人家族だったが、弟は独立、母親は実家の介護などで家族が次々に家を出て、去年(2013年)の夏前から1人になった。生活費は毎月、父親が持ってきており、町内会の香典集めにいった際は「お父さんがお金を持ってきてから渡す」などといわれたことがあるそうだ。

   近くの年配の女性に仕事につけない悩みを打ち明けたこともあるといい、事情を知る男性は「なぜ次々に家族が家を出て行ったのか。本人にしてみれば、親に捨てられた、見放されたられたと思ったかもしれない」と推測する。

犯行に強い決意!親への復讐を無差別殺人に転嫁?

   大野木は調べに対し、「誰でもよかった。最初から殺すつもりだった。ブレーキは踏まず、アクセルをめいっぱい踏んだ」といっている。レンタカーを借りる時、身分証明書がないと貸せないと断られたため、保険証を持って再度訪れるなど犯行前から決行への強い意思をうかがわせている。

   コメンテーターの香山リカ(精神科医)はこう分析する。「大学も卒業して、ある程度の知識や情報があっても、社会的に満たされていない。でも、自分でどこかに相談に行こうとか、サポートを利用しようとかいう一歩が踏み出せない。世間的には家もあり、生活費もあり、恵まれた状況なのに、自分はすごい不幸、損をしているという気持ちが強いのでしょうね。その不満を無差別の人たちにぶつけた。もしかしたら、親への復讐というようなところもあったかもしれないですね。一種の自殺です」

   類似の事件防止のためにも徹底した解明が待たれる。

文   一ツ石
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