「自分で目指している演技がきょうはできました。メダルは持って帰ることはできませんでしたが、これまでお世話になってきた方々に私なりに恩返しができたと思います」
フィギュアスケート女子フリーの浅田真央選手(23)は最初のトリプルアクセルを成功させると、次々と6種類の3回転ジャンプをすべて決め、前日のショートプログラム(SP)とは人が変わったような見事な演技でソチ五輪を終えた。
結果は自己ベストの142.71点をマーク、前日のSPのミスがなければメダル獲得は確実だったが、SPの点を加えたトータルは198.22点で6位だった。
1位はロシアのアデリナ・ソトニコワ(17)でフリー149.95点で総得点224.59点、2位は韓国のキム・ヨナ(23)で144.19点で同219.11点、3位はイタリアのカロリーナ・コストナーで142.61点で同216.73点。鈴木明子(28)は8位、村上佳菜子(19)は12位だった。
ジャンプのスピードで差が出た接戦フィギュア
前日の悔しい思いから一夜で平静を取り戻した浅田の演技に、村主章枝(フィギュアスケート選手)も舌を巻く。「リンクの真ん中に立ったときから自分との戦いです。SPのミスが惜しかったのですが、それがあったからこそフリーでこれほどできたのだと思っています」
浅田のトリプルアクセルの採点法に与良正男(毎日新聞論説委員)は不満げだ。「3回転半はもっとアドバンテージを上げてもいいのではないかといつも考えちゃう」
村主「そうですね、3回転半は他のジャンプに比べて半回転多いので、リスクがあるのはたしかです。でも、そこに挑戦し臨んだのは浅田選手らしい強さだったと思っています。やはりアスリートであるということは、常に挑戦することが求められる。そういう浅田選手の姿に皆さんが心を揺さぶられたのだと思います」
1位のソトニコワと2位のキムの差が5.48ポイントと僅差だったことについて、村主は「上位3人はほとんどミスのない接戦でした。どこで差がついたのか。ジャンプの質やできが左右したのでしょう。ジャンプの質はスピード、流れ、空中でのポジションを見ます。今回はスピードで差がつきましたね」