きのう19日(2014年2月)の「とくダネ!」で「これから真央ちゃんの金メダルを見にいくんです」と言っていた司会の小倉智昭は、けさ20日はソチの特設スタジオにいた。浅田真央はショートプログラムで16位とまったく精彩を欠いたが、「浅田」で準備していた番組はもう調整がきかない。放送する方もつらいだろうが、見せられる方はもっとつらかった。
東京のスタジオも意気消沈…「とくダネ!」時間埋まらず四苦八苦
上位3人は韓国のキム・ヨナ(23)、ロシ アのA・ソトニコワ(17)、イタリアのカロリーナ・コストナー(27)で、いずれもノーミスで74点台の高得点だ。メダルはこの3人に絞られたといっていいような滑りだった。対して、日本選手は村上佳奈子(19)と鈴木明子(28)が60点台、村上、浅田真央(23)は55点台の16位に沈んだ。
ソチに着いていきなりこの結果を聞かされた小倉は、「あまりの衝撃で、ソチが暑いのか寒いのかもみてない」という。早くも番組が続かない。映像を送る東京側も手の打ちようがなかったのだろう。浅田が転倒するシーンを出すまでに、各選手の映像をつないでつないで、結局20分の時間稼ぎ。その後も、元選手でいまはフジテレビ社員の中野由加里が加わって、浅田の演技の解析に20分を費やして時間を埋める。最後に3選手のインタビューがあったが、浅田は「何が起こったかわからない」、村上は涙を流して「会場に飲まれた。くやしい」と言葉少なだ。小倉もようやく「3選手とも目をうるませて…というのは考えられないこと」とフォローした。
元プロ陸上選手の為末大「期待に応えようと思った時のパフォーマンスは低くなりがちです。自分のためにやったときの方が、結果として高くなる。一番いいのは無邪気にやることだが、これがなかなかむずかしいんです」
笠井信輔アナ「たしかにスノボーなんかは無邪気にやっているように見えますよね」
なんとか浅田の話題で番組を引っ張ろうとするのだが、なかなか続かない。とうとう「あれから4年 集大成」というバンクーバー五輪後の浅田を追ったまとめを20分もやったのには驚いた。いかに注目のフィギュアとはいえ、まだ前半のSPでこれはなかろう。
スノボー「パラレル大回転」こんな面白い競技だったんだ!竹内智香が銀メダル
これに比べて、スノーボード・女子パラレル大回転の竹内智香選手(30)の銀メダルの話題は面白かった。レースはきのう19日のゴールデンタイムに生放送された。パラレル大回転というのは、2人が並んで滑る一騎打ちなのでわかりやすい。金メダルをかけた対決はスイスのP・クンマー選手が相手で、1回目は竹内が先行したが、2回目で竹内が転倒してしまった。
しかし、ゴールしたあと2人は抱き合っていた。竹内は2007年からスイスのナショナルチームに自分で乗込んで合宿に加わっていたのだ。クンマー はいわば仲間だ。スイスに拠点を移したのは、日本の強化体制に対する不満からだった。竹内はソルトレーク五輪から4度目の五輪だがメダルはない。10年のバンクーバー五輪でスイス選手と行動をともにした。それでもダメだった。スイスのコーチに「本当に五輪で勝ちたいのなら日本に戻れ」といわれ、これで変わったという。
竹内は「長かったが、これで他の選手はもっと簡単に入ってこられると思う」と話す。たしかに、勝たないと競技そのものが注目されない。スノボーのハーフパイプもそうだし、夏のフェンシングも女子サッカーもそうだった。このパラレル大回転は心理戦の要素もあってなかなか面白い競技だが、これまでどれだけの人が知っていただろう。
竹内は「次の韓国を目指す」と話している。笠井は「34歳ですね」というが、尊敬する人は三浦雄一郎氏なんだという。年なんか関係ない。