ソチ五輪12日目のきのう18日(2014年2月)行われたスキー・アルペン女子大回転は、89選手のうち15人が転倒などで棄権する厳しいコース設定だったが、なかでひとり、悠々たるペースで滑り切ったタイの選手がいた。雪のないタイから出場?
トリノ五輪・荒川静香フリー演技も彼女の演奏曲
アルペンスキーは100分の1秒を競う競技で、日本人選手がほとんど顔を出さない、というより出てもほとんど勝負にならないのが寂しいところだ。そんなレースの雰囲気とは無縁に、トロトロと滑ったのがタイのヴァネッサ・ワナコーン選手だった。
実は彼女、ヴァネッサ・メイの名で活躍する世界的なバイオリニストだった。トリノ五輪フィギュア金メダリスト荒川静香選手がフリー演技で選んだ「トゥーランドット」を演奏していたのが彼女だ。五輪ではとみに知られていた。その情報だけはあったためか、テレビ中継のレース解説者も「音楽家だけにリズムがいい」などと、わけのわからないコメントをしていた。タイムは最下位だったが、当人は「ウインタースポーツが盛んではない国を代表して出場できてよかった」と嬉しそうに語っていた。
バイオリニストとしての映像が出たが、これがまあ華やかな別人だ。五輪出場条件は世界ランク500位以内というのがあるが、その条件を満たさなくても別の規定があって、彼女はそれで出たらしい。とはいえ、大回転コースを完走するだけでもたいしたものだ。並のスキーヤーではできない。