ソチ五輪ジャンプ・ラージヒルの葛西紀明選手の銀メダルは史上最年長の41歳、7大会連続出場という勲章つきだった。日本時間のきょう17日(2014年2月)未明行われた表彰式で、葛西は「とったぞ。もう1回とるぞ」とガッツポーズをした。リレハンメル(1994年)の団体で銀メダルをとっているが、個人戦では初めてだ。日本にとっては、長野五輪以来16年ぶりのジャンプのメダルだった。この41歳、次の平昌五輪でも飛ぶ気だ。
「ジャンプ団体」金メダルに最短距離!4選手の個人合計ポイント日本トップ
きのう16日未明に行われたラージヒルは練習なしで臨んだ。ノーマルヒルの着地で腰を痛めていたからだ。1回目に2位につけ、最後から2番目に跳んだ葛西はトップに躍り出た。残るはカミル・ストフ(ポーランド)1人だけだ。メダルは間違いないが、金か銀か。日本中が固唾を飲んで見守る中、ストフは葛西を超えた。
試合後、葛西は「金メダルをとってほんとにレジェンドと呼ばれたかった。また目標ができたので頑張りたい」と語った。金メダルにこだわるのには理由がる。葛西の競技人生は苦難の連続だった。9歳から始めたが、家計が苦しいからとジャンプを続けることに親は反対した。器具も他の選手のお下がりだった。中学3年の時、札幌で行われた大会でテストジャンパーとして跳んだら、大会優勝者を上回って、関係者をびっくりさせた。
16歳で国際戦にデビューし、最初のピークが21歳のリレハンメル五輪(94年)だった。十中八九手にしていた団体戦の金を原田雅彦の失速で逃した。次の長野五輪で日本は雪辱を果たしたが、葛西は直前の故障で補欠に回されてしまった。この悔しさが「一番のモチベーションだった」と葛西はいう。
その後も五輪に連続して出場しがら、結果が出なかった。しかし、今シーズンは何かが変わった。直前のワールドカップで久々に優勝。ノーマルヒルで8位に終わったあとも、得意のラージヒルに自信満々だった。
競技の結果だが、飛距離では葛西が上回ったが、飛型点でストフ。差はわずか1.3だった。長野五輪で金メダルの船木和喜は「テレマークの差です。ヨーロッパの選手は足が長いから腰の位置が高い。点数が出る」という。そういえば、高梨沙羅が苦しんだのもテレマークだった。
団体戦はあす未明になる。出場4選手の個人戦での成績を合計すると、日本がトップになる計算だという。司会の小倉智昭は船木を「まだ38歳ですよね」と冷やかしていた。