ジェニファー・ローレンス「中年女の色気」好演
さすがに、どの役者も達者なものだが、とくにすばらしいのはロザリン役を演じたジェニファー・ローレンスだ。ロザリンは事件当時50歳だが、23歳のジェニファーは中年女性独特の色気を上手に演じている。嫉妬心にかられて騒動を大きくし、最後にアーヴィンに事件収束の手がかりをつかませるロザリンを中心に映画は引っ張られていく。
クリスチャン・ベールは『ザ・ファイター』ではガリガリの薬物中毒ボクサーを演じ、この映画ではブヨブヨの体に頭の禿げ上がった詐欺師を演じている。役者魂には毎度の如く脱帽だ。マフィアのボス役で出演しているロバート・デニーロも存在感たっぷり。
人間味溢れるキャラクターたちは、さまざまな思いと打算で突き進み騒動を大きくしていく。その様は笑えるんだけど、どこか切ない。愚かだけど憎めない人間の可笑しさを見事に描いた傑作である。
野崎芳史
おススメ度☆☆☆☆☆