「やることは一緒なのに、オリンピックはどこか違いました」
本来ならトップニュースのはずが、後回しになったのは女子ジャンプも同時に行なわれていたからだ。高梨沙羅はワールドカップで今季10勝していて、金メダル間違いなしとだれもが疑わなかったが結果は違った。
1本目で100メートルで3位といまひとつ調子が上がらない。そして2本目、98.5メートルと伸びない。最後のカリナ・フォークト選手(ドイツ)を残して、高梨は3位につけていた。フォークトが飛んだ。最高得点! ワールドカップで勝ったことがない選手がオリンピックでは優勝した。
高梨はインタビューで「やることは一緒なので、変わらず挑んでいたつもりだったんですけど、やはり(オリンピックは)どこか違うところがあるなと感じました」という。必死に耐えていたのだろう。終わって仲間と抱き合ったとき、涙があふれた。深夜にも関わらず、大応援団がテレビを見守った出身地の北海道・上川町も沈んだ。
ソチに入って以来、高梨の表情はずっと硬かった。試合前も「(練習でも)納得のいくジャンプは1本も飛んでいない」話していた。山田いずみコーチは「フィーリングが合っていなかった」という。
小倉は「五輪よりワールドカップの方が上」と慰めをいったが、それはウソだ。オリンピックを上回る大会はサッカーとテニスしかない。「ボクらがプレッシャーをかけ過ぎたのか」。それに違いはないが、結局は本人だ。だれも助けられない。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト