上村愛子やりきって4位!「五輪は本当に楽しいところ。やめなくてよかった」

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   これまでならゴール後に外すゴーグルを上村愛子はなかなか外さなかった。そして、やっと外した目にはうっすらと涙がうかんでいた。6人で争われたフリースタイルスキー女子モーグル決勝戦で、上村は4位に終わった。

   決勝3回目。上村は悪くなかった。ターンのスピードは乗っていたし、エアーも美しく高い。阿部祐二リポーターは観客席から「よし、これでメダルは決まった」と力を込めた。しかし、上村の後から滑ったアメリカのカーニーにターンで0.5ポイントの差をつけられ、最後の一段を上ることができなかった。

   しかし、気持ちはさばさばしていた。取材陣に「どんなにきついことでも、どんどん聞いて下さい」と笑顔を浮かべた。応援に駆けつけた母親の圭子さんは「よくここまで頑張ってきたと思いますね。あの笑顔はこれまでの競技生活に悔いはないと語っているように思われます」と話し目頭を押さえた。

「ゴールの後の涙は悔しさじゃありません。18年間が楽しかったから涙」

「ゴールした後、なぜか涙がジワーッと出て来た。でも、これまでの苦しい思いや悔しい思いから出る涙ではなく、できることはすべて出し切った。18年間の選手人生は楽しく、途中で辞めなくて良かったという思いからでした」

   上村はバンクバー五輪後の1年間、モーグルと距離を置いた。そして、翌年の4月に競技復帰を宣言し、その席で「引退も考えましたが、まだやり続けなければという思いの方が強くなりました」と語った。

   コメンテーターの杉山愛(プロテニスプレーヤー)「私も若いときに現役引退を考えたことが何度かあります。その心中は複雑で、自分との葛藤でした。そこを上村さんは乗り越えて、競技続行を宣言したわけで凄いと思います」

   キャスターのテリー伊藤「今回のオリンピックで、一番メダルを取って欲しいと願っていたのが上村選手でした。あと一段上に上がれれば良かったのに…。それが難しかったのかな」

   「五輪は本当に楽しいところ」と上村は語り舞台を降りた。

文   ナオジン| 似顔絵 池田マコト
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