東京都知事選は自民党・公明党丸抱えの舛添要一氏が制した。都民は消去法で無難な選択をしたといえる。街頭演説では「圧勝」だった細川護煕・小泉純一郎コンビは、宇都宮健児氏にも及ばなかった。低かった投票率も含め、都民はなかなかにしたたかな目をもっていたということか。
存在感薄かった細川じいさん
元首相が2人並んで「脱原発」で突っ走る細川陣営は、おととい8日の締めを終えて、「いけるね。勢いよく終わった。すがすがしい気持ちだ」(小泉)と意気軒昂だった。が、結果は舛添211万票、宇都宮98万票、細川95万票と完敗だった。
細川は「努力が不足していたことを痛感します。ご期待に添えなかったことを申しわけなく思っています」と勢いがなかった。選挙戦でも勢いがあったのは小泉の方だ。「やらなきゃならない仕事があるなと思ったら、老人でも若返るんですよ」などと、相変わらず見出しになる言葉を吐き続けた。雪の中となった最終日も「衆院選でこれだけの反応があったら、最高点間違いない」
細川は紙を読みながらの第一声から、「ん?」と思わせるシーンの連続だった。並んで立つ小泉とどちらが候補者かわからない印象を与え続けた。銀座4丁目で行った演説では直前の舛添を上回る聴衆を引き寄せたが、得票にはつながらなかった。聴衆の方も「小泉さんとセットだから」「小泉さんの存在の方が大きく出て、立候補する人が…」と覚めた目で見ていた。
舛添氏は自民・公明の組織選挙に乗りながら、商店街を歩き回るなどドブ板もやり、1日に平均9回も街頭で演説をした。細川は2回だ。これでは違って当然である。舛添は世論調査でも終始リードした。
前回より16・14%も下がった投票率
結果で見るべきは宇都宮だ。細川に安易に乗らず、舛添と自民・公明にノーという都民の票だ。結果的に宇都宮票を細川が食ってしまった。もうひとつ驚きは、田母神俊雄が61万票もとったことだ。分析がほしいところだが、「とくダネ!」はこの2人には全く触れない。
司会の小倉智昭「これだけの大勝になったのはなぜなんですか」
時事通信の田﨑史郎・解説委員は「有権者が求めていたものと違ったということでしょうね。派手な劇場型ではなく地道な人を選んだ。もうひとつ、自民・公明がものすごい力を入れていた」と解説する。
投票率も46.14%と前回より16.14ポイントも低かった。田﨑は「前回は総選挙と同時だったから高すぎたが、今回は雪もあった」というが、当然、無党派票が減り、組織票のウエートが高まる。
小倉「細川さんに過信もあったのでしょうか」
田﨑「20代、30代の人は細川さんを知らない人が多かったですね。小泉さんの人気で勝てると思ったのと、脱原発が争点になると思ったのが間違い。世論 調査では、福祉、少子高齢化とかに関心がありました」
お調子者が多い都民も簡単には動かない。したたかなのだった。