新しい東京都知事に舛添要一元厚労相が選ばれた。東京から「脱原発」を発信すれば国が変わるといわれ、原発が争点になるかに見えたが、フタをあけると主な候補者がみな脱原発で、票が分散して投票所に足を運んだ有権者は全体の半分以下だった。
舛添も途中から「脱原発依存」
宇都宮健児元日弁連会長が脱原発を掲げて真っ先に出馬表明していたところへ、細川護煕元首相が小泉純一郎元首相の全面支援を受け脱原発を掲げて名乗りを上げ、「脱原発」が争点として急浮上した。
ところが、途中から舛添も脱原発と言い出し、模索された宇都宮・細川一本化も不成功に終わり争点ボケしてしまった。結局、都民がもっとも関心を持ったのは、「安心した暮らし」「働ける場所をいかに作るか」という点で、「あまった都有地を使い保育所や特別養護老人ホームを作る」と具体的な福祉政策を打ち出した舛添に期待が集まったのだろう。
ハードランディングかソフトランディングか
ただ、選挙結果から脱原発をどう見るかついてはコメンテーターの意見が割れた。共同通信編集委員の柿崎明二は「舛添さんも脱原発を言っている。即ゼロのハードランディングか、段階的にというソフトランディングの違いで、となると脱原発派のほうが圧倒的に多い。舛添さんを押していた政府はその方向で動くべきではないか」という。
元日銀マンで経済評論家の池田健三郎は「一自治体の長の選挙ですから、国の原発政策の推進が是か非かを占ったんだというのは拡大解釈過ぎると思う」といい、低投票率を次のように批判した。
「この(脱原発)問題に隠れて、東京都という自治体にどういう課題があって、それをどう解決するのかというところがほとんど見えなくなってしまいました。活発な議論が交されることなく46.14%という非常に低い投票率になってしまった。雪のせいにする人もいるが、雪の問題じゃない。首都の4年間の政策、しかも前任者がお金の問題でつまずいてこの投票率、都民は猛省しないといけないと思います」
文
モンブラン