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小林よしのり「安倍は靖国神社にも天皇陛下にも失礼だ!良き日本の破壊者」

   扨。こう書いて読める人はどれくらいいるだろうか。恥ずかしながら、この「さて」という字を最近、倉本聰氏の『獨白』という本で知った。編集者などと自称していても、知らなかったことの多いことが、この年になると嫌というほどわかってくる。まだまだ勉強しなければと思うこの頃である。

   都知事選は新聞を見ていると「脱原発」派の細川、宇都宮両氏の敗色が濃厚のようだが、そうなれば安倍晋三首相が勢いづくことは間違いないだろう。米国景気の先行き不安や消費税値上げがどうなるかという心配材料はあるが、このままいけば持論である集団的自衛権の容認ばかりでなく、憲法改正にまで手をつけてくるかもしれない。

   こうした安倍首相を牽制する力は大メディアにはもはやない。それがあるとすれば保守陣営からではないかとかねがね思っていたが、『週刊ポスト』で小林よしのり氏が「安倍総理は靖国へ行くな」と吠えてくれている。彼のいい分を紹介しよう。

<安倍は靖国神社の本来の意味を全くわかっていない。安倍はダボス会議で海外メディアに対し、「靖国にヒーローはいない」と言ってのけた。また安倍は、「慰霊のために」「不戦の誓い」で参拝したとも言っている。
   ふざけているのか。
   靖国に祀られているのは、戦争に従事して、国のために命を捧げた英雄であり、だからこそ「英霊=秀でた霊」というのだ。靖国とは、そうした英霊たちを誇り高く「顕彰」する神社であって、ただ慰霊するための施設ではない。(中略)
   そうした意味を持つ靖国神社で「不戦の誓い」という、まるで村山談話のような発言をすることがいかに失礼なことか。
   靖国に参拝するということは、自分もいざとなれば国のために戦う覚悟はあるか、仮に尖閣諸島で一触即発のときに身を挺す覚悟があるか、そういうことが問われているのだ。「不戦の誓い」はまるでそれに逆行する言葉である。(中略)
   規制改革にしてもTPPにしても、そして原発推進(小泉は転向したが)にしても、安倍の現在の政策は、本来、日本の共同体が培ってきた愛郷心(パトリオティズム)を破壊するものばかりだ。
   安倍はそうした新自由主義的政策を推進しながら、なお「保守・愛国者」と見られるために、靖国神社を利用した。靖国参拝はもはや新自由主義の隠れ蓑になってしまったのだ>

   さらに、<しかも厄介なことに、それは天皇なきナショナリズムとも結びつく>と断じている。<安倍が国際社会の反発の中で参拝すればするほど、本来靖国神社にとって悲願のはずの天皇陛下のご親拝は遠のくことになる。安倍のせいで、天皇陛下はますます靖国に行きづらくなっていることを、なぜ誰も問題にしないのか>

   全文を紹介できないため、つまみ食いのようになってしまっているが、関心のある人はぜひ一読を。

   安倍首相は、小林氏のいうように「国際感覚の欠如した幼稚な排外主義的ナショナリズム」の持ち主でしかないし、私は韓国の朴槿恵(パククネ)大統領も同類ではないかと考える。だから日韓関係はいつまでたっても光明が見えないのだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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