「現代のベートーベン」といわれ全聾の作曲家として知られた佐村河内守氏(50)の楽曲が、実は桐朋学園大非常勤講師の新垣隆氏(43)の作ったものであることがわかかった。佐村河内のCDを発売している日本コロンビアは、すべての商品の出荷と楽曲のネット配信の停止を決めた。佐村河内の特設コーナーを設けていたCDショップ「東京堂」はコーナーを撤去せざるを得なくなったという。予定されていた演奏会も次々と中止に追い込まれている。
桐朋学園大非常勤講師の新垣隆氏「私がゴーストライター」
佐村河内は1963年広島生まれで、被爆2世という。4歳のときから母親によるピアノの英才教育を受け、10歳で作曲家を志望、17歳で原因不明の頭痛、聴覚障害が発症したが、高校卒業後に独学で作曲を学んだ。35歳で聴力を失った後も、絶対音感を頼りに作曲を続けてきたという。14年前の1999年にゲーム「鬼武者」の音楽で脚光を浴び、アメリカの新聞に「現代のベートーベン」と取り上げられたこともある。
ところが、代理人の弁護士が5日(2014年2月)に明らかにしたところによると、「十数年前より楽曲の記譜行為については、特定の別の人物が行うようになっていた」「佐村河内が提案した楽曲構成・イメージを別の人物に具体化してもらう形で創作活動をしていた」という。実際に曲を作っていたと名乗り出た新垣は「佐村河内さんのゴーストライターを18年間にわたってやっておりました」と明かした。
本人の作曲でなければ買わなかったファン
司会の井上貴博「では、なぜ合作として発表しなかったのでしょうかね」
誰もが感じる疑問だ。東京新聞政治部次長の金井辰樹は「楽曲に罪はない」というが、ファンは「被爆2世の全聾の作曲家」「現代のベートーベン」というイメージで楽曲を聴くことはできなくなる。18年間騙し続けた2人の罪は重い。
佐村河内は独学で作曲を勉強したというが、楽譜が読めないという話もあり、努力では得られない絶対音感を本当に持っているのかさえ疑わしくなる。元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は「『佐村河内さん本人の作曲だから買った』『本人による作曲でなければ買わなかった』となると、詐欺罪に問われる可能性もある」と話している。