消費期限と賞味期限は食品衛生法とJAS法で食品への記載が義務付けられているが、賞味期限延長の動きが乳製品や即席麺などで始まっている。即席食品工業協会の任田専務理事は、「東日本大震災以降、期限を過ぎて破棄されるのはもったいない。食品ロスが増えるばかりになると期限延長を求める声が強くなりました。たしかに、期限の記載が法律で義務付けられてから38年たち、その間に製造方法や包装技術などは進歩しました。それで今回、期限延長の動きが本格化したわけです」と説明する。
西村綾子リポーター「この延長で袋麺はこれまでの6か月から8か月に、カップ麺は5か月から6か月になりました。ただし、1度封を開けたものは含まれません」
もともと期限過ぎても食べれられた「賞味期限」
そもそも、賞味期限は過ぎたら食べられないというものではなかった。西村は「消費期限はこの期限を過ぎたら食べないで下さいというものです。一方、賞味期限は風味があって美味しく食べられるのはここまでですという意味で、その期限が過ぎたから食べられないというわけではありません」と説明する。だから、同じ製品でもメーカーによって賞味期限は違う。
小岩井乳業の広報担当者は「ヨーグルトはメーカーによって期限設定は違います。また、同じメーカーのものでも商品によって期限が違ってきます。当社は出荷前発酵製法という製造法を採用していて、このタンクの中で十分に発酵させてから商品化し出荷しています。そのため他社さんよりも賞味期限が長いです」
ネックは流通段階の「3分の1ルール」
コメンテーターの大沢あかね(タレント)「期限が延びるというのはありがたいですよ。今までの1、2か月程度なら期限が過ぎても、大人なら食べても大丈夫と食べていましたけど、延長でより安心して食べられる」
宮崎哲弥(評論家)「期限の記載が義務付けられる以前は、製造年月日を包装紙に明記することとされていた。それが外圧により消え、現行の法律が施行された。今回の延長で消費者の選択の幅が広がるのは良いことです」
ただ、問題は流通段階の「3分の1ルール」じゃないのか。製造から賞味期限の3分の1を過ぎた商品の納入は拒否、また店頭で消費期限の残りが全体の3分の1を切ると店頭から撤去して廃棄してしまうという「習慣」である。消費期限を延長すれば、納入期間も小売り期間も長くなるが、生産・流通段階での意識改革、つまりは「賞味期限」ばかりを優先して買い物をする消費者の意識改革をすすめなければ、食品ロスを減らすことは難しい。