聴力を失った作曲家として、「現代のベートーベン」と呼ばれる佐村河内守氏(50)に、ゴーストライター疑惑が出た。スポーツ紙などの報道を受けて、佐村河内氏もNHKの取材に「申しわけない」と謝罪したという。いったいどういうことなのか。
CD売り上げ18万枚!クラシックとしては異例の大ヒット
佐村河内は広島出身。両親は被爆者で、幼児のころからピアノを習い始めて音楽の道に進んだ。1997年に映画「秋桜(コスモス)」やゲームソフト音楽で注目されたが、17歳で発症した聴覚障害が進み、35歳で完全に聴力を失い、以後は音符だけで作曲を続けてきたとされる。米誌『タイム』は「現代のベートーベン」と紹介した。
おととし11月(2012年)のNHK「情報LIVEただイマ!」で取り上げられ、1年以上前に出したCD「交響曲第一番HIROSHIMA(03年作曲)」が「アマゾン」の音楽ソフト総合チャート で1位になった。昨年3月(2013年)のNHKスペシャルでも報じられ、CDの売り上げは18万枚と、クラシックでは異例の大ヒットとなった。
『スポーツニッポン』紙によると、「本当は自分が作曲した」という人物が告発する準備を進めているといい、佐村河内の関係者も「共同制作者的な存在はいる」と認めている。両者の間で何らかのトラブルがあったらしい。けさ5日(2014年2月)の7時のNHKニュースは、佐村河内本人の「大変申しわけなかった」というコメントを伝えた。
司会の小倉智昭「ご本人の?」
笠井信輔キャスター「はい。つまり、疑惑の域を出てしまったということです」
イメージを伝えて別人が曲つくり
小倉「クラシックは万単位でヒットですから、10万枚超えたら大ヒット。HIROSHIMAっていい曲なんで、オーディオ雑誌で推奨したこともあるんですよ。本人が作曲したと思いますからね」
情報の出どころはゴーストライターの代理人弁護士で、佐村河内は十数年前からこの人物に曲のイメージなどを伝えて曲にしてもらっていたという。これは一種の共同作業をうかがわせるが、共同通信は「別の人物が作ったものだった」としている。
『佐村河内の作品』の「ヴァイオリンのためのソナチネ 嬰ハ短調」は、ソチ五輪フィギュアスケートの高橋大輔選手がショートプログラムで使う予定になっている。笠井は「年末の全日本選手権でも使っていたので、そのまま使われるのでは」という。
小倉「曲自体がよければいいわけだし。ただ、実際に作った人と話し合いができていたのかなあ。これから何らかの法的措置をとるのか微妙でしょ」
日本コロンビアは「とくダネ!」の取材に、「驚いている。弁護士がだれだかもわからない。確認中です」と答えたという。
小倉「はじめから共作にしておけば、こういう問題にならなかったのに。曲はいいんですから」