生まれたときの体重331グラム。生存率1%未満といわれた赤ちゃんが1年たって、4500グラムに成長し、先月31日(2014年1月)に無事退院した。初めて太陽を浴びて眩しそうに手足を動かしていた。
赤ちゃんは静岡市の小原想生(そうき)ちゃん。母親のちさやさん(30)とともに静岡県立子ども病院を退院した。名前には「生きられるかどうかわからなかったので、とにかく生きていてほしい」という願いが込められている。
臓器も未熟で各専門分野の医師による特別チーム
想生ちゃんが生まれたのは去年の1月4日(2013年)、緊急の帝王切開での出産だった。通常は妊娠40週前後で産まれるが、想生ちゃんは予定日より約100日も早い24週と5日だった。一般的な赤ちゃんの体重は2500~4000グラムで、1000グラム以下は超低出生体重児といわれる。この基準に照らしても331グラムは余りに低体重で、体も小さく、両手の掌に収まるほどだった。
ちさやさんは語る。「すごく小さかったから、生きていけるかどうか、3日がヤマと言われてました。生きてほしいのと、ダメなのかもしれないという気持ちが半分半分で、ずっと泣いていました」
生まれてすぐに新生児集中治療室に入り、生後6日目に胎便が腸に詰まり、人工肛門の手術を受け、約3か月間は人工呼吸器がつけられた。全身の臓器が未熟で合併症のリスクも高く、各専門分野の医師による特別チームを編成して診療に当たった。無事成長できたのは、各科の連携がうまくいったのと、やはり想生ちゃんの生命力だったと主治医は語る。
母親「みんなに可愛がられて、わがままな性格かな…」
退院の記者会見には抱っこされた想生ちゃんも姿を見せ、想生ちゃんの性格はと聞かれちさやさんは、「みんなから可愛がられてきたので、わがままなのかな」と笑顔で答えていた。
司会の加藤浩次「ちょっと睫毛が長くて、ぱっちりして、想生ちゃんは可愛い顔してますね」
コメンテーターの香山リカ(精神科医)は医師の立場から「小児科だけでなく、いろんな専門の科がある病院なので、緊急事態の時もすぐに対応できたのが良かったのでしょう」といい、「お母さんのお腹から出るのが早かっただけと考えて、いま生まれてスタートラインにたったと考えればいいのでは」と励ましの言葉をおくっていた。
通院はこれからも続くが、ひと足早い春の訪れだ。