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農薬男・阿部利樹「模倣犯」怖い!50男が年収200万円の「格差時代」

   いやな話題ばかりが続いて恐縮だが、マルハニチロの冷凍食品に農薬「マラチオン」を混入させた犯人・阿部利樹容疑者(49)が逮捕されたが、その容貌や奇矯な日常が関心を集めている。週刊文春によると、阿部容疑者は妻と長男の3人で群馬県大泉町で暮らしているが、自宅周辺ではちょっとした有名人だったらしい。

   改造したビッグスクーターに乗り、大音量の仮面ライダーの歌をかけて走り回っていたという。その他の趣味はアニメのコスプレとカブトムシの養殖だった。高校卒業後は自動車部品を扱う会社や新聞配達などを転々とし、8年前からアクリフーズ工場で冷凍食品の製造に関わることになったという。アクリ社の従業員の話では、「愛想がよくて、たまに他の製造ラインに現れては、冷凍する前の揚げたてのコロッケを、よく『つまみ食い』していました」というから、ネクラのオタクタイプではなかったようだ。

   週刊文春のモノクログラビアに逮捕時の写真が出ている。醜悪な中年オヤジそのもので、いかにも悪いことをやりそうな悪相だが、動機は何なのだろう。週刊文春は年収の少なさへの不満からだとしている。2012年4月から賃金体系が「年功制」から「能力型」へと変更され、「阿部容疑者の年収は約二百万円」になったという。

   元従業員も「工場内で給与に不満を持つ人は多い」と語っている。もちろん彼の卑劣な犯行は絶対許せないが、50近い家庭を持った男が月14万円にもならないのではと、彼の憤りがわからないでもない。

   アベノミクスだと浮かれ騒いでいるのはほんの一握りの大企業と、株でアブク銭を掴んだ極々一部の人間だけである。格差はいっこうに縮まらず、生活必需品は値上がりするばかりで、貧困世帯や年金生活者は明るい未来など夢想だにできはしない。

   集団的自衛権を容認して軍備増強に走るのではなく、社会福祉にもっとカネを使わないと、こうした『会社を恨み世間を恨む犯罪』が多発することは間違いない。社会の蔭の部分を見ようとしない、救おうとしない永田町の政治屋たちに『天罰』が下る日は必ず来るはずだと思いたくもなる昨今である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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