阿部利樹「3年以下の懲役か50万円以下の罰金」会社側の農薬公表遅く立証にカベ

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   マルハチニチロの子会社「アクリフーズ」群馬工場で冷凍食品に農薬マラチオンが混入された事件で、契約社員の49歳の阿部利樹容疑者が25日(2014年1月)に逮捕された。昨年(2013年)10月3~7日の間に4回にわたってミックスピザやチキンナゲットなどの冷凍食品4袋にマラチオンを混入し操業を停止するなど工場の業務を妨害した偽計業務妨害の疑い。阿部は容疑を否認しているという。

混入商品の製造日時と勤務時間一致

   マラチオンが混入された商品の製造日・時間帯と阿部の勤務時間帯が一致し、阿部の所持品からマラチオンが検出されている。また、従業員の任意聴取を行なっていた警察が今月(2014年1月)10日に阿部から話を聞いた4日から、工場を無断欠勤して行方が分からなくなって家族から捜索願が出されていた。

   10日後の24日夜、工場から30キロ離れた埼玉県幸手市の駐車場にいるところを不審に思った通行人から110番通報があり、駆けつけた警察官によって阿部と分かった。いったんは家族に引き取られたが、その後、警察が任意同行を求め逮捕された。

   会社側は事件を発表した当初、各商品の製造ラインは仕切られていて行き来ができないと説明し、マラチオンが混入した商品が多岐にわたったことから、すべてが集まる包装室が混入場所と見られていた。ところが、ピザの生地を作るクラフト班に所属していた阿部は、休憩時間中にピザ以外の場所に頻繁に出入りしていた。試食と称して摘み食いをしていたという証言もある。

被害2843人出しながら、傷害罪でなく偽計業務妨害

   妻子のある阿部は工場関係者からどんな印象をもたれていたのだろうか。アクリフーズ群馬工場の木下好夫工場長は「新入社員の面倒をきちっと見られ、性格的にも明るい従業員でした」という。元従業員の印象は違っていた。「お調子者でつかみどころがない、常識がないというかな、トラブルがあったのは聞いていました」と話す。包装担当の従業員と口論になり、上司から「今度(トラブルを)起こしたら契約しない」と注意されていたという。

   厚労省によると、今回の混入事件でマラチオンの混入した商品を食べたと見られる購入者2843人が下痢や嘔吐などの症状を訴えており、本来なら傷害事件だ。しかし、弁護士の菊地幸夫によると、「毒物が混入されたことが立証でき、その商品が出回って購入した客が嘔吐、下痢の症状が出たことが繋がれば傷害罪の適応も可能だが、今回は会社側の警察への通知の遅れや発表の遅れから物証が乏しく難しい」という。

    結局、偽計業務妨害の疑いで逮捕となったわけだが、これだと3年以下の懲役または50万円以下の罰金で、住居侵入や器物損壊なみの刑だ。司会の加藤浩次は「少なくてびっくりした」とあきれ顔だ。

   会社の食品安全管理がズサンだったことは言い逃れできないうえ、そのズサンな管理を隠すためか、事件発生について速やかに対処しなかったことの意味は大きい。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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