先月(2013年12月)、東京で別居中の息子を道連れに父親が自殺した。子煩悩な父親だったという。いま離婚件数は年間23万件、その8割で母親が親権を持つ。そのため、子供に会いたい父親が子どもを連れ去るなどの事件が多発している。昨年検挙にいたっただけで31件。5年間で倍増した。どこか異常だ。
かつてと違い、家族が生き甲斐という男性は増えている。それだけに、離婚・別居となったときになすすべがないらしい。「子どもに会いたい」、 妻は「会わせたくない」。これを解決できているのは3割くらいだという。
思い余ってストーカー化
3年前から九州・別府で「子どもに会えない親たち」の集まりが開かれている。参加者はほとんどが男性だ。孫に会いたいおじいちゃんもいる。「6年間に会えたのは3回」「メシが食えずに1週間で6、7キロ痩せた」「(子どもに)近づくことも、『会わせて』と連絡もできない状態で、気が狂いそう」
30代の男性は余暇のほとんどを小学生と保育園の子どもと過ごしていた。昨年3月(2013年)、夜遅く帰ると家族の姿がない。実家に戻っていた。妻からは メールで離婚をいってきた。不仲ではあったが、現実を前に妻を責め続けた。「会いたい、会いたい」で訪ねたが、妻からは「2度と来ないで」と手紙が来た。ストーカーに近かった。「やめなさい。怖いと思っている」という実の母親の一言で気がついた。
棚村政行・早大教授は「家族を大事にする男性は増えているが、妻と不仲になると、社会的にも精神的にも追い詰められてしまう」と見る。一方、子どもに会わせないという妻の側は、「追い詰めてくるお父さんから子どもを守るために、お母さんもそうなりやすい」