西武、大丸松坂屋、三越伊勢丹、京王の大手百貨店4社8店舗で偽物のブレスレットが販売されていた可能性が強まった。各店は対照商品の回収を始めているが、信用が売りものの百貨店でなぜこんな事が起きたのか。
偽物が疑われているのは、アメリカの人気アクセサリーブランド「CHAN・LUU(チャン・ルー)」のブレスレットで、歌手のレディー・ガガなど世界中のセレブたちが愛用している。昨年2月(2013年)から12月の間に各店の催事場で、1万~2万円の値段で170点以上が販売された。
「CHAN・LUU(チャン・ルー)」のブレスレット1~2万円
偽物疑惑の発端は購入した客が不審に気付いたことだった。連絡を受けたチャン・ルーが偽ブランドの排除活動を行なっている団体「ユニオン・デ・ファブリカン」に調査を依頼したところ、偽物が売られていたことが確認された。阿部祐二レポーターがこの団体を訪れ、本物と偽物を比べたところ、一見似ているが、商品についているタグのロゴが異なるうえ、石の手触りも偽物はザラザラ感があって本物とは違う。
団体によると、百貨店は通常、ブランド品はメーカーの代理店から直接仕入れる。ただ、このブレスレットは催事場での販売だったので、正規のルートだけではなく、取り引きのない独自のルートで輸入する個人業者からも仕入れて販売したという。
個人業者からかき集めて催し物
各百貨店が偽のブレスレットを仕入れたのは『マルヤマ商会』という個人業者で、複数の業者から仕入れた物を各百貨店に納入していた。このうち、都内の個人業者1社と連絡が取れなくなっているという。偽物のブレスレットはこの業者が流したものと見られている。団体の担当者は「マルヤマ商会は百貨店ではこういうことは許されないという認識が甘かった。並行輸入を扱うときは、ちゃんと確認しなければいけないという常識もなかったんです。一方、百貨店側もしっかり確認する必要があった」と厳しく指摘する。
内科医のおおたわ史絵は「デパートでわざわざ高い買い物をする意味合いは、ちゃんとしているという安心料が含められていると思い買っているんです。催事場はチラシやポスターで大きく宣伝し、その時のデパートの顔でもあるのに」とタガが緩んだ百貨店を批判した。
では、法的には誰に責任があるのか。弁護士の本村健太郎は「偽ブランドを知っていて販売すれば商標権の侵害になります。当然、百貨店側は(偽ものと)知らなかったと思うが、あくまで販売した責任は百貨店側にあると思います。過失がなかったことを証明しない限り、販売した側が責任を負い、返品に応じることになります」という。