ノロウイルスによる浜松市の食中毒はさらに広がり、きょう20日(2014年1月)には15の小学校、2つの幼稚園が学校閉鎖、症状の出た児童は1100人になった。原因は給食のパンとわかったが、パン工場の女子トイレの共用スリッパからウイルスが検出され、消毒マニュアルに盲点があった。
浜松「集団感染」原因パン工場の消毒マニュアルに落とし穴
浜松市保健所によると、パン工場の女性従業員3人からノロウイルスの陽性反応があった。3人は発症しておらず、食パンの検品を担当していた。作業は異物混入対策で、ゴム手袋で1枚1枚確認していた。
原因となった食パンは13日から14日にかけて作られたもので、13日以降に作られた157種類、約8万8000個の回収を急いでいる。搬送先は26都府県に及ぶという。しかし、販売先については「迷惑がかかる」とパンメーカーは明らかにしなかった。
工場の敷地内にある直売店は「安くておいしい」と人気だった。この週末は休業したが、返品する客が大勢詰めかけたり、それとは知らずに買いに来る客もあった。
浜松市内のクリニックに16日から下痢、嘔吐を訴える患者が急増して感染が発覚したが、現在は二次感染の段階に入っていると医師はいう。薬局ではマスクや塩素系消毒薬が「普段の5倍から10倍」の売れ行き。また、きょうから3日間給食を止めたため、弁当用に冷凍食品が売れているという。
石原良純(タレント)が「ボクら子どもの頃はノロウイルスなんてなかった」というと、中村明子・東京医科大教授は「その頃は診断の技術がなかったんです。冬の胃腸炎は多分これだったと思いますよ。いまは食中毒として届けることになっています」と説明する。
トイレでは便器のフタを閉めてから流せ!
原因となったパン工場の消毒マニュアルでは、工場に入る前に「エアシャワー」「手洗い」「アルコール消毒」が決められていて、トイレを出る前に「アルコール消毒」(消毒しないとドアが開かない)となっていた。作業はむろん手袋だ。完璧なように見えるが、中村教授は「アルコールはノロウイルスに効き目がない」という。感染しても症状が出ない人が3割くらいあり、ノロウイルスが検出された3人はそれにあたる。症状が出ていなくても、まき散らすウイルスの量は発症した人と同じに多い。
中村教授「トイレが一番危険です。ノロウイルス対策=トイレ対策です」
トイレでふたを開けたまま水を流すと、飛沫で便座、カベ、床にウイルスが飛び散る。「だから、スリッパからの検出は当たり前なんです。それより、アルコールで消毒する前に、どんな手の洗い方をしたかが大事なんです。これが不十分だと、はめるときに手袋についてしまう。手袋イコール安全というのは錯覚」という。
石原「便座のふたを閉めてから流したことないなぁ」
では、消毒は何が有効なのか。それが「次亜塩素酸水」だ。薄めて使う液やそのまま使えるスプレーがある。中村教授は「これは従来の塩素系消毒薬と違い、食品添加物としても認められています。ただ、塩素系だから汚れがあると効き目がない。きちっと洗ったあとに使うこと」という。
司会の羽鳥慎一「症状が出たとき、薬は?」
中村教授「薬はいけません。早くウイルスを出してしまわないといけない。下痢止めや抗生物質を飲むと、症状を伸ばしてしまいます」
これは覚えておいたほうがいい。