地震より耐震改修費用で潰れる老舗旅館!法改正され補強しないと名前公表

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東京都は建物使いながらワンフロアづつ改修すれば補助金

   耐震基準は1981年に新しくなった。阪神大震災で旧基準の建物の7割が倒壊・損傷したため、耐震改修促進法が作られた。自主的な診断・補強をうながしたのだが、改修は進まない。巨大地震の不安が強まる中、強制に踏み切ったのが先の法改正だった。決断を迫られているのは旧基準の建物である。

   東京都には基準を満たさない大型建築が3000以上ある。工事のためにテナントが出てしまうと賃料が入らず、所有者の負担は二重になる。そこで、東京都は「段階的改修」を打ち出した。ワンフロアづつ改修して、そのつど補助を出す。ある5階建てビルは4年かけて2階までやった。3階から上はこれからだ。オーナーは「何回かに分ければ、賃料収入を維持しながらだからやっていける」という。だれのアイデアだろう。東京都もやるもんだ。

   補助に頼らず発想の転換で切り抜けた例もあった。静岡・浜松市の築42年のホテルは13階建てだった。その4階から上を取り壊してしまったのだ。重量が減って耐震性は大きくあがった。「減築」というのだそうだ。

   見積もりでは、全面改修だと39億円、補強だと16億円だったが、減築で3億円で済んだ。ナイトクラブだったところを露天風呂の温泉施設に改装して、日帰り入浴客を引きつけている。ビジネスモデルまで変えてしまったわけだ。

   ただ、こうした情報はまだ行き渡っていない。浅見教授は「相場とか、こういうやりかたがあるとか、デザイン情報などを集約して流す必要があります。耐震性があがれば資産価値もあがる。固定資産税も増えるが、そういう部分には減税とか補助とかもありうる」という。

   阪神大震災ではビルがウソのように倒壊し、丸ごとコテンと倒れ、途中の階がつぶれて傾いだ。あれから19年経ったが、なお急がないといけない。とにかく起ってからでは遅いのだから。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2014年1月16日放送「進むか大型建築物の耐震化~『耐震改修促進法』改正の波紋~」)

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