中国から見捨てられる金正恩…「北朝鮮はあと数年もたない」
粛清後の北朝鮮はどう変わったのか。その様子を伝える映像があった。張が中国と共同開発した羅先経済特区だ。中国資本による大規模ショッピングセンター、ホテルなどは閑散としており、カジノは閉鎖されていた。中国人貿易業者は「みんな神経質になっている。中国人との接触も禁じられているようだ」と話す。張の貿易会社は工場から鉱山まで持っていたが、解体され取り引きができなくなったという。
中国の対北朝鮮政策のブレーンである北京大学の朱鋒教授は「中国は怒りと絶望感を抱いた。北朝鮮が孤立し閉鎖的になることを懸念している」という。 中国は北朝鮮の非核化から改革開放へ導く道筋を描いており、北朝鮮側のキーパーソンが張だったからだ。張が2012年8月に訪中した時、国賓待遇で当時の胡錦涛主席が会談したほどだった。
張は昨年2月の3回目の核実験にも反対した。中国から経済援助を引き出したかったからだ。今回の粛清はこれを反逆とした。北朝鮮の指導部内では、中国に従う必要はないという意見が強まっていたのだ。
関西学院大の平岩俊司教授は「粛清のイニシアチブをだれがとったのかはよくわからないが、最終的に正恩氏が判断したはずです。今後、権力が党になるのか、再び先軍政治になるのか注目する必要があります」と見る。
張は日本の拉致問題でもキーパーソンだった。中国ですら金正恩第1書記を読み切れないなかで、ソウルの脱北者が「北はあと数年もつのは難しい」といっていたのが妙に生々しく聞こえた。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2014年1月9日放送「北朝鮮はどこへ~見えてきた粛清の真相~」)