本物の将兵や武器使った「リアル映像」にもうそ臭さ
製作側もさすがによくある戦争映画から脱却を図ろうとしているようで、本物の隊員と兵器によって「リアルな戦争体験」を提供しようとしている。その苦労と資金の豊富さはビンビン伝わってくるが、どうにもリアルが「リアリティ」に飛躍しない。アメリカ側から描いている一方通行感が日常を奪ってしまうからだろう。
「ジェロニモ作戦」という暗号名にアメリカの正義の本質が透けて見える。先住民の指導者名を付けたということは、白人に抵抗する者は殺すというアメリカの歴史、アメリカの哲学の一貫した価値観の表れなのかもしれない。
もはや酷評することもない。ミリタリー好きには見ごたえ十分な映画であるし、アクションシーンの撮り方は秀逸だ。「世界は安全になった。ビンラディンの死によってよりよい場所になった」という大統領の演説を疑わぬアメリカらしいアメリカ映画なのだから、難しく考えることもないか。
丸輪太郎
おススメ度☆☆