9・11同時多発テロの首謀者とされた「アルカイダ」のビン・ラディン暗殺を狙った「ジェロニモ作戦」を実話に基づいて描いたミリタリーアクションだ。『ブルークラッシュ』などのジョン・ストック・ウェルがメガホンを取り、実際に使われた兵器を使い、実際の隊員を起用して撮影された。
「差別はいけない」説教されても空々しさ…
「これぞアメリカ映画だ!」と製作側の自賛が画面に充満している。アクションを知り尽くしたカットの羅列は迫力がある。しかし、観客がそのように受け取るかは疑問だ。アメリカが「世界の警察」であることが前提になっていて、その視点で見たイスラムは原理主義に支配された凶悪な連中で、戦火に巻き込まれる庶民の存在は無視される。
イスラム原理主義がテロリストを生み、目的の為には手段を選ばない危険思想が「正義」になってしまうとこの映画は熱弁を振っているのだが、アメリカの「正義」もアメリカ原理主義というべき偏狭さの裏返しに過ぎない。
イデオロギーによる差別をしてはならないと観客に訴えるシーンがある。そして「それは戦地では戯言なのさ」と展開されていくくだりは、ベトナム戦争を題材にした映画で散々やりつくされてるうえに説教臭い。説明のくどさはもはやプロパガンダ映画である。