本題に入る前に、1月4日(2014年)に買った『週刊現代』と『週刊ポスト』の話をしたい。新聞広告を見ていたら、週刊現代400円に対してポストは420円とあったので、早々と週刊ポストは値上げしたのかと思い、東京・中野駅の売店で両誌を買うと840円請求された。
あれ? と思い週刊現代を見ると、週刊ポストと同じ特別定価420円と表紙に書いてある。オフィスで新聞広告をもう1度確認すると、週刊現代は本体400円の横に税込み420円と小さく書いてあるではないか。週刊現代は外税的な書き方だ。400円の5%の20円が消費税分だから、両誌は4月に消費税を8%アップするときには定価をいくらにするのだろう。
昔、週刊誌の値段はコーヒー1杯と同じだといわれていた。ラーメンはそれより安かった。いまコーヒーは200円前後、牛丼は300円前後、ラーメンが高くなり、週刊誌はその中間だが、420円は高すぎないだろうか。これで週刊誌の売り上げがさらに落ち込まないか心配である。
セックス袋とじ対決!お得感とわいせつ感で「週刊ポスト」の勝ち
さて、週刊現代、週刊ポストは新年号付録のつもりなのだろう、「袋とじ」でお得感を出そうとしのぎを削っている。週刊ポストはW袋とじで「永久保存版 美熟女専科1万円写真集 創業25年富士出版 ベストセレクション 豪華ミニ写真集」と「それだけでアナタのSEXライフは10倍の快楽を得られます!完全保存版 女性のためだけの『秘密のフェラチオ講座』」。週刊現代も袋とじで「こんなことしてお嫁に行けるの? やばいSEX」
「富士出版 ベストセレクション」は小雑誌になっていて、素人だそうだが、中年女性のあられもない姿がなかなかのわいせつ感を醸し出している。もう一つの袋とじは週刊ポストお得意の「最新最強のアダルトグッズ」の紹介があり、週刊現代もカリスマAV女優が舌技を教えているページがある。この袋とじ対決、お得感とわいせつ感で週刊ポストが週刊現代を上回っている!
ここで提案。われわれが少年時代には『少年倶楽部』などの新年号8大付録に心を躍らせたものだった。付録に関する規制が緩和され、いまの女性誌にはトートーバッグやマフラーや傘までがつく。週刊誌も新年号ぐらいは、袋とじだけではなく『サライ』のように万年筆や手帳、またはポーチなどを付録につけたらどうだろう。そうすれば『お得感』があるから部数は伸びるだろうし、話題にもなるから損はしないと思うのだが、いかがだろうか。
かなり絞られてきた「マルハニチロ」農薬混入犯!包装作業担当の管理職
対象が640万袋という空前の回収騒ぎを起こしている「マルハニチロホールディングス」傘下のアクリフーズ社群馬工場は、13年前に1万4780人もの集団食中毒事件を起こした雪印の子会社だったと『週刊新潮』が報じている。雪印が食中毒事件を起こしたのは2000年で、その翌年に冷凍食品部門は「雪印冷凍食品株式会社」として分社し、02年に「アクリフーズ」と社名変更して03年にニチロが買収した。07年にニチロがマルハと合併し、現在はマルハニチロHD傘下となっている。本山直樹・千葉大学大学院名誉教授(園芸学)がこう語る。
<「検出されたマラチオンは、園芸店で誰でも買うことができる一般的な農薬で、本来は1000倍以上に薄めて使います。ところが、今回の濃度は1万5000ppm。原液がそのままかけられていると見ていいでしょう」>
事件について、某紙県警詰め記者がこう解説している。<「マラチオンが検出されたコロッケやピザなど7品目は別々の生産ラインで作られていますが、包装作業は同一の部屋で行われる。あの工場では半年契約の期間工を中心に294名の従業員が働いていましたが、この包装作業に従事していたのはそのうちの約80名です」>
犯人像はかなり絞られるようである。包装作業担当の某従業員氏もこういう。<「包装ラインもそれぞれ担当がはっきりしていて、原則として持ち場以外の製品にはタッチできない。それができるのは管理職だけ」>
いったい何のためにこのようなことをしたのか。会社に対する恨みか愉快犯か。「食品会社潰すにゃ刃物はいらぬ、農薬の一つも入れりゃいい」。こんな戯れ歌が流行りそうな、食の安全が脅かされる嫌な世の中になってきたものである。
「日韓対決」日本の圧勝!年間セックス回数、国会議員の資産額では負け
日韓関係が深刻さを増しているが、週刊ポストが「日韓対決42勝8敗で日本の勝ち」という特集を組んで、勝ち負けを競ってもしょうがない「殺人発生率からペニスの長さ」まで比較している。ちなみに、ペニスの長さは日本人12.5センチ、韓国人9.6センチで日本の勝ち。どういう統計を参考にしたのかね。セックスの回数は逆に日本人が年間45回で韓国人は52回で韓国の勝ち。
真面目なのでは国会議員の平均資産額。日本人が3228万円なのに韓国は1億8200万円。圧倒的に韓国議員のほうが多いのはどうしてなのか。殺人発生率では日本人が10万人当たり0.8件なのに韓国は2.4件と多い。
AKB48提灯記事オンパレードに朝日新聞OB怒り心頭「AERAはジャーナリズムの志と矜恃失くした」
『週刊文春』は他の週刊誌の批判をよくする。これはいいことで、仲間内だろうと批判すべきは堂々とするべきである。私も新聞広告を見て少しビックリしたが、『AERA』の新年第1号で、丸ごと1冊秋元康特別編集長というのを出した。AERAは朝日新聞の子会社・朝日新聞出版のニュース週刊誌で、部数は7万部前後、広告媒体としての地位は確立しているそうだ。
これを「不見識」だと元朝日新聞OBで『週刊朝日』元編集長・川村二郎氏が叱っている。<正直な感想をいわせてもらえば、AERAはジャーナリズムの志と矜恃を失くしたといわざるをえない。
編集部の知人に、「君らは貧して貧して、秋元康に城を明け渡したのかね」と聞くと、「年始から恥ずかしい限りです。ニュース雑誌の看板は下ろしたようです」と返事が来た。
批判をすると『粛清』されるので、みな黙っているそうだ。
批判を許さぬ言論機関は、言論機関とはいえまい。昔から、子を見れば親がわかるという。親の朝日新聞が子の真似をしないことを、祈るばかりである>
秋元氏に頼むのなら、彼らしい誌面づくりをしてほしいと私も思うが、見る限りAKB48提灯記事のオンパレードである。これでは「AERAがAKB48に誌面を売り渡した」といわれてもしかたあるまい。
もう1本は週刊現代、週刊ポストの「老人セックス特集」への批判だ。気鋭の思想家・仲正昌樹氏(金沢大学法学類教授)なる人物がこう批判している。<(ポストの12月13日号で=筆者注)『長寿社会の現在、性生活の充実はそのまま人生の満足度につながる』と、正論らしい主張を展開している。
一見もっともらしいが、この場合の『性生活の充実』とは、AV男優なみのテクニックを持ち、若い相手と週に何度もセックスすることなのか? また、性生活が彼らの考えている意味で『充実』してることが、人生の満足度に直結するのか? 仕事も勉強もせずにセックスし続ける若者の生活は充実しているのか? 本気でセックス漬けの老後をサポートしたいのであれば、余計な理屈など言わずにエログロ雑誌になりきるべきではないか?>
こうボルテージを上げているのだが、その後に続く彼のいい分は何とも妙である。<現在五十歳の私は、そろそろ両誌の特集の想定読者ゾーンに入ってるはずだが、これまでの人生で、異性であれ同性であれ性的関係を持ったことがない。別に性的不能と言うわけではない。いろんな仕事入ってきて、かなり忙しいので、セックスの相手も機会もなくても、さほど孤独を感じていない>
忙しさに取り紛れて50近くまで女性との性的関係が1度もなかった? こんな風変わりな御仁に批判されても、週刊現代、週刊ポストの編集長は戸惑うばかりではないか。
津川雅彦あえて言う!山田洋次監督ボロクソ「日本映画をお粗末にしている元凶だ」
週刊ポストの連載「現場の磁力」にはときどきおもしろいものがある。今週は俳優で監督の津川雅彦が日本映画批判をしているが、なかでも山田洋次監督を批判した下りは的を射ている。紹介しよう。
<山田洋次とはえらい違いだ。「武士の一分」なんて作って〈一分〉を描かない。反対に、武士はだらしないという映画にする。娯楽映画でも芸術映画でもない。なんだろう、あれは。(中略)山田洋次が描く江戸時代は胡散臭い。主演の木村拓哉を実にだらしない武士にする。江戸時代は圧政に苦しんだと左翼はいう。ところがそうじゃない。世界にも稀な町人文化が発達した。庶民が自由で文化的だった証拠です。(中略)
また「武士の一分」の話に戻りますが、時代も捉えていない、空々しいリアリティのない作品です。
ああいうものが、日本映画をお粗末にしているのです。
しかも、いまや、ちゃらちゃらと巨匠といわれる監督の作品だ。
彼となら、映画論をやって私が圧倒的に勝つ。いや、末期的ですよ>
私も1990年代はじめの『フライデー』編集長時代に「寅さんを安楽死させろ」という記事を掲載したことがある。その主旨は、毎年盆暮れに寅さん映画をやるために、それ以外の映画を作りたいと思っても上映できないし、若い監督たちが腕を振るえる場所が狭められているため、有為な監督が出て来ることが出来ない。渥美清も寅さん以外の役をやりたいだろうし、彼にはその力があるのに、寅さんのイメージがつきすぎてしまって、俳優としての幅を狭めてしまっているのは、日本映画の損失である。
概略そのようなことだったが、結局、渥美は死ぬまで寅さんを演じ続け、山田洋次監督は巨匠に祭り上げられ、独りよがりの作品ばかりを撮り続けている。そのうえ、何を考え違いしたのか、昨年は小津安二郎の名作「東京物語」をリメイクした作品を撮ったが、結果は小津はやはりすごかったと再認識させるだけに終わった。
私が好きな吉永小百合を主役にした「母べえ」などは、反戦映画にもなっていないお粗末な出来で、吉永がなぜこんな映画に出たのかと見ていて「可哀想」で泣けて仕方なかった。
山田洋次監督を全否定するわけではない。寅さん映画は平和な日本の象徴であり、見事な反戦映画であったが、彼は寅さん映画で燃焼し尽くしたのだ。
こう書いてきて、いい映画が見たくなってきた。新宿でやっている「ハンナ・アーレント」の評判がいいそうだが、未見なので行ってこよう。キネマ旬報でも2013年の外国映画部門で3位に入っている。ちなみに1位は「愛、アムール」で、2位は先日見た「ゼロ・グラビティ」である。「ゼロ・グラビティ」は3D映画初の傑作、ぜひご覧あれ。