「世界で最も影響力のあるパキスタンの16歳」銃撃のマララ―すべての子供が学校に通う姿が見たい

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「一人の子ども、一人の先生、一冊の本、一本のペンが世界を変えることができます」

   女性の教育を否定するイスラム過激派に2年前に銃撃され、奇跡的に一命を取りとめ、国連で世界にこう訴えた16歳のマララ・ユスフザイは、現在、イギリス中部のバーミンガムで治療を続けながら、暴力にひるむことなく教育の重要性を訴え続けている。

   そうしたマララの熱い言葉が世界の女性の心を揺り動かし、女性蔑視の強いアフリカの農村などで、教育を受ける権利を求める声が上がり始めているという。そのマララは国谷裕子キャスターに、「自分の権利のために声を上げる必要がある時はそうすべきなのです」と語った。

生まれた町はタリバンに支配され、ブログで発信したら銃撃

   世界でもっとも影響力のある16歳といわれるマララが生まれたのは、パキスタン北西部、アフガニスタン国境に近い山岳部のスワート地区だ。男性優位の社会で、女性は年頃になると肌を露出することはもちろん、一人で外出することも許されない。

   そんな保守的な土地で、女性も自由に生きるべきだという教育者の父のもとで、3人兄弟の長女として育てられた。そして、成長するにつれ、弟たちには許されることが自分は禁止されている社会のあり方に疑問を抱くようになった。

   そんなときの5年前、タリバンによって町が占拠され、学校が閉鎖されて教育を受ける権利を奪われてしまった。マララはその実態をブログなどで国内外に発信し続け、タリバンの標的になってしまった。それによって、むしろマララはペンのもつ力に気付いたという。

「ペンが生み出すことばはマシンガンや戦車やヘリコプターよりもずっと強い力を持っている。ファズラー(過激派幹部)のようなたった一人の人間がすべてを破壊できるのなら、たった一人の少女がそれを越えることもできるはずだ」(自伝)

マララは国谷にこう話す。

   ―どのような疑問から、女の子を取り巻く状況について、おかしいと考えるようになったのですか。

「私自身は本当に恵まれていると思います。父は私に自由や弟たちと対等の権利を与えてくれました。でも、近所では対等の権利を与えられない女の子がたくさんいて、学校に通うことを許されていなかったんです。
 ある時、オレンジ売りの小さな女の子に会いました。その子は手に紙を持っていて何かを書こうとしていました。『勉強は好き?』と尋ねると、『大好き』という答えが返ってきたんです。話を聞くと、学校に行きたいけど、お金を稼がなければいけないというんです。そのとき、私は思ったんです。この子はオレンジを売るのではなく、学校に行ってオレンジがどうやってできるのか、自然や生物について学ぶべきではないかと」

   ―その後、タリバンがやってきて学校を爆破したり、人々が殺され、女性に酷い仕打ちをするのを間近に見ていたわけですが、自伝で「暗黒の日々」と表現されている日々をどんな気持で過ごしてきたのでしょうか。

「毎晩、人が殺されるような社会で暮らすのは本当に辛かったです。21世紀なのに、こんな野蛮なことが起きるのかと思っていました。でも、たとえタリバンが学校の扉を閉じても、学びたいという私たちの心までは閉ざせないと思っていました。奪われてはじめていかに重要なものかを思い知らされました。
 学校に行くということは知識を得るだけでなく、自分自身の未来を切り拓くことだと思います。だから、もう学校へ行けないと言われた時は、まるで石器時代に引き戻されたかのようでした」

   ―世界では、あなたに勇気づけられた女性たちが声を上げ始めていますね。あなたは16歳にして、子どもの権利を守る世界のリーダーとなり、活動をしています。重荷だと感じますか。

「私の責任だと考えています。以前は教育のために発言することは私の権利だと思っていましたが、今は『やるべきこと』だと考えています」

   ―その一方で、パキスタンでは名声のために活動しているだけではという批判もあります。そういう声を聞いてどう思いますか。

「名声のためにやっているといわれても、それはそれでかまいません。でも、教育という大きな目的だけは支持して欲しいと思います」
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