南米エクアドルの最大都市グアヤキルで、新婚旅行中の日本人夫妻が襲われ夫が死亡し、妻が重傷を負った事件は、現地で「特急誘拐」といわれる路上強盗の手口だったとみられている。富裕層や旅行客を短時間拉致し、その場で家族に身代金を要求したり、金品を奪ったりして逃走する。命まで奪うケースは稀といわれるが、今回は最悪の事態になってしまった。
現地旅行代理店「普段は命奪わない。暴れて抵抗したんじゃないか」
襲われた人見哲生さん(30)と真梨子さん(27)は、昨年(2013年)12月22日に金沢市で挙式し、新婚旅行でエクアドルを訪れた。28日夜、グアヤキルのレストランで食事をして流しのタクシーでホテルへ帰る途中、後ろをつけてきた車の8人組の男に襲撃された。哲生さんは車内で、真梨子さんは外に放り出されて銃で撃たれ、路上に倒れているところを発見された。現金も含め、所持品はすべて奪われていた。2人がタクシーに乗ってから発見されるまで30分ほどの犯行だったという。
キャスターの小倉智昭「特急誘拐は殺されることはほとんどないといわれるようですが」とレポーターの岸本哲也に聞く。
岸本「何が目的かといいますと、お金なんです。一時的に身体を拘束する、金品を奪う、ATM(現金自動預払機)で現金を引き出させる。これを非常に短時間で行います。南米で頻発しているようです」
現地の旅行代理店経営者によると、狙われやすいのはパソコンやカメラを持っている人で、高級ホテルや高級レストランの前が誘拐現場になりやすい。タクシーで知らないところへ連れて行かれ、そこに運転手の仲間が待ち伏せしているといった手口だ。命まで奪われることは少ないが、今回、最悪の事態になったことについて、妻が暴れるなど抵抗したのではないかとみている。
年間6000人が海外で犯罪被害
小倉「このご夫婦の場合は、ガラパゴスに行きたくてエクアドルに行ったというぐらいですから、旅慣れていたのではないですか」
笠井信輔アナウンサー「流しのタクシーは危険といわれていますが、旅慣れているがゆえに、流しのタクシーを拾ったということがあるかもしれませんね」
外務省の資料によると、最近の5年間で海外で犯罪被害に遭った日本人は年間平均6000人弱で、内訳をみると、ワースト3は窃盗4456件、詐欺461件、強盗・強奪281件となっている。つまるところ、お金が狙われている。
小倉「今でも日本人は金を持っていると思われるんですかね」
コメンテーターの宋美玄(産婦人科医)「そう思いますけどねえ。私も結構、僻地とか行くんですけど、旅慣れているとちょっと気が緩んでしまうところあるんですよね。旅慣れている人ほど、ここは日本と違うと注意しなければと思います」
笠井「最終的には無抵抗で差し出す物を差し出すしかないということになりますよね」
エクアドル政府は約2000万円の懸賞金をかけ、国の威信をかけても犯人を逮捕するといっており、すでに有力な容疑者が浮上しているという。