マルハニチロの子会社「アクリフーズ」群馬工場で製造された冷凍食品から農薬が検出された事件は、調理、包装段階で何者かが意図的に混入した疑いが強まってきた。農薬に詳しい消費者問題研究所の垣田達哉代表によると、「マラチオンはアブラムシやダニなどを害虫を駆除するために使う殺虫剤で、ホームセンターやインターネットの通販でも手に入れられ家庭菜園でも使われる」という。誰でも簡単に入手可能というわけだ。
群馬県担当者「使われたのは希釈されていない原液」
食品製造工場のどこでマラチオンが混入したのか。食材に使う野菜の残留農薬が疑われたが、群馬県の担当者が立ち入り検査した結果、「高濃度の汚染であり、原材料に由来するものとは考えられない」というものだった。垣田代表も「農薬は通常薄めて使うので強い臭いはしない。この事件では残留農薬ではなく事故か意図的に入れられた以外は考えにくい」と断言する。
アクリフーズが異臭を訴えた消費者から回収した商品を調べたところ、パッケージに穴が開いているなどの不審な点はなく、工場から出荷された後の流通段階で混入されたとは考えにくいという。
残るのは工場内の調理、包装段階の可能性だ。工場にはフライ、グラタン、コロッケ、ピザ、ホットケーキの5種類の製造ラインがあり、ホットケーキは2階、他は1階にある。農薬が検出されたのはフライ、ピザ、コロッケだが、それぞれ製造ラインは仕切られていて従業員の行き来はない。しかし、包装段階になると仕切りはなくなり、ライン間の移動のためのブリッジで行き来ができるようになっている。
包装の作業場は常時40~50人おり、私物の持ち込みは禁止されていて作業着にもポケットはない。ただ、従業員の話では「身体検査するわけではないので、下着の中に入れれば持ち込むことは可能だ」という。
1か月にわたって繰り返し犯行
キャスターのテリー伊藤「農薬が検出された商品の製造年月日(昨年10月初旬から11月)にズレがあり、犯人は何日もやっていた可能性がありますよね」
コラムニストの勝谷誠彦「農薬(の入ったビン)は小さいので、相当な本数でないとあれだけのもにバラ撒けない。冷凍食品なので実施の購入時期と今と時期がズレているので、監視カメラも上書きされて分からないとか、結果的に犯人に有利に働いてしまっている。警察も捜査がしにくいと思う」
アクリフーズは就業員300人の聞き取り調査を進め、群馬県警も従業員の任意聴取を始めているが、捜査は難航しそうだ。