<かぐや姫の物語>高畑勲監督が8年かけて伝えたかった「生きるためのメッセージ」
誰もが知っている「竹取物語」を原作に、高畑勲監督8年の歳月と50億円をかけて制作した。殴り書きのような画のタッチが喜怒哀楽を生き生きとさせ、日本の四季が見事に表現されている。
「姫の犯した罪と罰」というキャッチコピーから、竹取物語の新たな解釈を提示されるのではと思ったが、話は物語に忠実な作りである。それでいて観客を飽きさせない。
もちろん、画の力、故地井武男ら豪華な声優陣の演技力もあるが、物語の中にも「日本のいま」に向けた強いメッセージが込められているからだろう。「罪と罰」というどこかネガティブなイメージよりも、『風立ちぬ』の「生きねば」というフレーズの方が筆者にはしっくりくる。