「日本版NSC初代局長」アメリカ情報機関が眉を顰める裏人脈「元KCIAエージェント」のバブル紳士
わが世の春と思われていた猪瀬直樹都知事が、徳洲会からの5000万円借り入れで辞任に追い込まれるとは思わなかったが、この世界一寸先は闇である。その躓きにつながるかもしれない記事が『週刊文春』に載っている。安倍首相がご執心の日本版NSC初代局長谷内正太郎氏の「許されざる『特定秘密』」がそれである。
<「NSC設立の狙いは、他国の情報機関との機密情報の共有により、日本の情報収集・分析能力を高めること。ありていに言えば、アメリカの機密情報をもらうための受け皿です」(政治部記者)>
だが、アメリカも眉を顰める友人が谷内氏にはいるというのである。「寛総会」という会があって、朝日新聞の木村伊量社長など錚々たる顔ぶれが並んでいるが、パチンコ・パチスロメーカー「セガサミー」の里見治会長も名前を連ねている。セガサミーは2014年には法整備が進むと見られる国内カジノの参入を目指しているといわれる。谷内氏はセガサミーの顧問を務めているが、顧問契約はセガサミーと株式会社谷内事務所との間で結ばれているそうだ。そして、寛総会の事務局長として会を取り仕切っているのがK氏だという。K氏とはどういう人物なのか。
今から約17年前、住宅金融会社(住専)がバブル崩壊で巨額の不良債権を抱えて社会問題化していたとき、<K氏も、住専四社から約六百億円の融資を受けた大阪の不動産会社社長としてバッシング報道の渦中にいたのだ>という。不動産関係者がこう語る。
<「あの頃大阪で成功した地上げ屋であれば、少なからず山口組系宅見組との接点を持っているはずですが、K氏の会社も例外ではありませんでした。頼み事をするには、組長の趣味だったフランスのエミール・ガレの高級美術品を持参するのが常識とされていたことから、贈り物探しに奔走していました。
先頃韓国で仮釈放された許永中元受刑者が『韓国青年会議所を作ろう』とK氏に持ちかけてきたり、許氏と昵懇の実業家が度々会社を訪ねてくることがありました」>
バブル崩壊まで突き進んだK氏の不動産会社、ピーク時で都銀や住専からの借金が総額約1500億円まで膨らんでいたという。K氏はその後、自宅を差し押さえられたものの、一定の不良債権を処理した後、夜逃げ同然で大阪から忽然と姿を消したそうだ。
そのK氏が谷内氏と結びついたのだ。日中間に人脈を張り巡らせるK氏にこんな話があるという。公安関係者が絶対匿名を条件にこう明かす。<「彼は、少なくとも一九六九年から一九八〇年までは韓国大統領直属の情報機関、KCIAのエージェントだったことが確認されている。
KCIAのエージェントは最盛期で八千人超いたと言われ、統一協会系の国際勝共連合などが隠れ蓑として使われていた。Kは活動資金が民団から出ている民団系のエージェントだ。北朝鮮情報の収集を担当し、日本国内では韓国大統領の一等書記官の指揮下にあった」>
こうした背景が事実だとしたら、K氏と親しい谷内氏の初代NSC局長就任というのに疑問符がつかないのだろうか。K氏は週刊文春の取材に対して、KCIAのエージェントについてだけ「事実無根」だと伝えてきたという。だが、官邸関係者がこう懸念している。
<「実は、谷内氏はワシントンの大使館勤務の経験はあっても見るべき米国ルートがない。谷内氏の『人脈』をアメリカが把握すれば、機密情報を渡してくれるのか疑問です。これでは、何のために特定秘密保護法を無理押ししたのか……」>
カジノ利権に関わる人物や韓国とのパイプが強い人物との交流に対して、谷内氏は釈明をすべきであろう。それとも自ら「特定秘密」に指定して蓋をしてしまうのであろうか。