安倍首相はきのう25日(2013年12月)、沖縄県の仲井真知事と会談して新たな基地負担軽減策を提示し、来年度予算の概算要求を上回る沖縄振興予算も説明した。仲井眞知事は「驚くべき立派な内容だ」と語ったが、これを受けて知事は27日にも辺野古埋め立て申請を承認する意向だ。
「一時的な資金とか権力の圧力には負けないでほしい」「知事の判断なら仕方がない」
安倍が示した基地負担軽減策は、(1)米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止などを検討する作業チームの設置(2)オスプレイ訓練の半分を沖縄以外で実施(3)日米地位協定を補足する新協定の対米交渉を開始する―などである。これに振興予算が加わる。
普天間の移転先である名護市辺野古の埋め立て申請を、知事が承認する見返りだ。どれもいますぐ何かが動くものではないが、知事が「県民を代表して感謝する」といったのには、現地でも驚きの声があがった。賛否はむろん半ばする。
この日、沖縄県庁は「埋め立て不承認」を求める1500人が取り囲んでいた。「一時的な資金とか権力の圧力には負けないでほしい」「はね返すくらいの沖縄代表であって欲しい」という一方で、「知事の判断なら仕方がない」と割れる。そんな中での埋め立て承認となった。仲井真は会談後に「非常に難しい。だって、名護市長と市議会が(埋め立てを)嫌だといっているのだから。1日も早い(普天間の)危険性の除去という点では合格。それができれば問題はないと思っている」と苦しい胸の内を語った。
3つ目の条件「日米地位協定見直し」アメリカ側はまったくその気なし
「モーニングバード!」は安倍が提示した条件のうち、3番目の地位協定の新交渉にウエートを置いた。米軍機の事故や米兵の犯罪に日本側は警察権を行使できないなど、不平等の代名詞だ。これが改定できるのかという期待だ。安倍はきのう、「地位協定は50数年改定がない。交渉すら行われなかった。新たな交渉を行うことで合意ができた」と話した。しかし、内容を見ると、本協定の改定ではなく、協定を補足する新協定を話し合うというものだ。どんなものになるのかも意見が分かれる。外交評論家の宮家邦彦氏は「新たなところへ踏み込んだが、成果はやってみなければわからないが、議論していくというのがポイントだ」という。沖縄国際大学の前泊博盛教授は「常に運用改善でやられてきた。実態はなんら変わっていない。(辺野古への)移設ありきのためのその場しのぎだ」と手厳しい。
司会の羽鳥慎一「50年変わらなかったものが、変わるかもしれないというのですが…」
赤江珠緒キャスターが出したフリップでは、新しい協定は「基地への環境立ち入り調査など」とあまり意味のある内容ではない。赤江は「米兵引き渡しなどの変更ではありません」と念を押した。松尾貴史(タレント)は「アメリカも変えるつもりはないといっていますよ。返還予定の基地に立ち入ってもあまり意味がない」
羽鳥「県民の不安を解消することにはならないですよね」
高木美保(タレント)「知事は評価しているが、県民はそんな気持ちにはなれないと思いますね」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「地位協定はドイツにもイタリアにもありますが、それぞれ改訂しています。変わらないのは日本が変えないからです。沖縄の人たちは『沖縄は日本なんですか』という思いでいるのでしょう」
日本がドイツ、イタリアと違うのは、憲法が違うからだ。これが地位協定とセットになっている。そして日本人の大半はそれを忘れている。あるいは知らない。