猪瀬直樹・東京都知事がきょう19日(2013年12月)午前、都議会議長に辞表を提出した。猪瀬は報道陣に「私の問題で都政の混乱を招いた。責任をとる」と語ったという。医療法人「徳洲会」からの5000万円問題が浮上して、オリンピック準備委員会設置や来年度予算案策定がストップしていた。知事は午前10時半から会見して、「政策には精通していたが、政務にはアマチュアだった」とくやしさをにじませた。
きのう石原慎太郎前知事から「もう辞めた方が…」
猪瀬はきのう前知事の石原慎太郎参院議員を訪ね、この場で石原から辞任を促され腹を決めたという。都議会は猪瀬の答弁は信用できないとして、きのう百条委員会設置に動き出していた。辞表の提出を受け、24日にも臨時議会を開き、知事の辞任が決まる。知事選は辞表提出から50日以内に行われることになっており、2月初めになるとみられる。
5000万円は昨年の知事選直前の11月20日、徳田毅衆院議員から受け取り、今年9月に「徳洲会」が公選法違反容疑で捜査を受けたあと全額返金された。猪瀬は終始「個人としての借り入れだ」と主張したが、発言の食い違いがさまざまに出て二転三転した。ここへ来て、「徳洲会」が関心をもっていた東京電力病院との関わりが指摘され、5000万円の性格が生々しさをましていた。岩井奉信・日大教授は「東電病院問題は展開によっては収賄になるおそれもあり、追い詰められた」という。
司会の羽鳥慎一「徳田虎雄氏との会話の記録は残っているのでしょうかね」
岩井「パソコンで文字に起こしているから、押収されていると思います」
次の知事の条件「オリンピックの顔になる人。議会と上手くやれる人。金の問題のない人」
知事選となると、たちまちいろいろな名前があがるが、岩井は「いま都政に争点はない」という。次の都知事に求められるのは「オリンピックの顔になる人。議会と上手くやれる人。金の問題のない人」と話す。
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)は「猪瀬さんはよく知っているが、なぜ金を受け取らなければならなかったかを聞いてみたい」といぶかる。
岩井は「最初の時きちんと謝っておけばよかったのではないか」と言うが、このあたりがカギかもしれない。もともと態度がでかい人だったが、 最初に朝日新聞の取材を受けたとき「知らない、知らない」とトボけたのが最悪だったことが表沙汰になったあとも、議会をなめていたこともあるだろう。
さらにいえば、5000万円が明るみに出たのも、「徳洲会」に司直の手が入ったというので、あわてて返した金が捜索で見つかったからだった。 もし知らん顔をして預かったままにしていたらどうだったか。会見でしきりにいっていた「アマチュアだった」という言葉が、なんとも皮肉に響いた。