人気漫画「黒子のバスケ」の脅迫事件で逮捕された渡辺博史容疑者(36)は移送されるときも薄笑いを浮かべていた。昨年10月(2012年)以降、漫画の作者周辺、出版社、書店、マスコミなどに500通もの脅迫文を送付していたが、田中良幸リポーターによると、「25グラム以内なら通常の封筒(80円)より安い60円で送ることができるミニレターで出していました。宛先には印字したシールを貼り、容疑者の指紋は検出されていません」という。
家宅捜索では「黒子のバスケ」少年ジャンプや単行本
メインキャスターの小倉智昭は「用意周到に準備したんだねえ」とため息をつく。田中は「片鱗は中学時代の頃からあったようです」といい、中学時代のクラスメートのこんな話を伝えた。「ひと言で言えば変わり者という感じでした。自分が得意の分野で誰かに負けると機嫌が悪くなり、競争意識を常に持っているというイメージが強かった。劣等感があったのだと思います」
高校は進学校に進んだが成績が落ち、大学には行かなかった。毎日ブラブラしていたのを近所の人たちは見ていた。やがてクリエーターや漫画家を育てる専門学校に入ったが、1年で中退している。
小倉「同じ漫画家を志望した者として、黒子の作者にやっかみがあったと話しているのでしょう。でも、なぜ脅迫の対象が黒子のバスケなの」
田中「そのへんはまだハッキリしていません。ただ、黒子のバスケは少年ジャンプでも超人気で、単行本も2300万部を売り上げています。家宅捜査でも、容疑者の自宅から黒子のバスケが表紙に使われた少年ジャンプと単庫本の21巻目が押収されています」
「こんな変な奴だったのか」脅迫された書店、出版社関係者は拍子抜け
小倉「容疑者の気持ちわかる?」
コメンテーターのデーブ・スペクター(テレビプロデューサー)「まったくわからないですよ。むしろ逆効果。脅迫文で書店の店頭から本が引き上げられていたけど、逮捕ですぐに並ぶでしょう。これだけ話題になった漫画はどういうのと人気が高まるよ」
笠井信輔キャスターは「笑顔で連行される映像を見て、作者や出版関係者は拍子抜けをしたでしょうね。犯人に何をされるかわからないと怯えていたのに、こんな奴だったのかと考えてしまっても当然ですからね」
ただ、脅迫文を送りつけられあわてて出版物を撤去してしまった書店に、「言論・出版の自由」を守ろうという矜持は感じられない。「脅せば出版・販売を止められる」という悪しき前例が残ってしまったのではないか。