彼女のために書かれた脚本と撮られた映画
平坦なだけに、ひとつひとつの仕草や役者の在り様に目が行く。綾瀬はるかの「干物女」はキュートだった。干物でいいじゃん、と同性に思わせる愛おしさがあった。でも、前田敦子の「タマ子」は違う。くちゃくちゃと音を立てておかずを咀嚼し、憎たらしげにケツを掻く。肌は脂で微妙に光っている。「苦役列車」の森山未來に引けをとらないダメ具合だ。脈絡のないブツ切れな動作が、「ぽつねん」したさみしさと、開き直った傲慢さを同時に感じさせる。前田敦子にしかできない、というか前田敦子に演じさせるための脚本なんだよなぁ、と感じ入る。
タマ子は、アイドルにも、女優にも、何者にもなれなかったパラレルワールドの前田敦子なのだ。ああ、堪能した。
(ばんぶぅ)
おススメ度☆☆☆☆