本人も気づかない「トラウマ」幼少期の辛い記憶よみがえり抑鬱状態や不安障害

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WHOが推奨する「認知行動療法」と「EMDR」

   国谷裕子キャスター「長年苦しめられてきた症状から解放される。このトラウマの処理とはどのようなことが頭の中で起きるのでしょうか」

   児童精神科医として30年以上にわたり治療に当たってきた浜松医科大の杉山登志郎特任教授(児童精神科医)はこう説明する。「トラウマの処理は最近になって進んできた治療法なので、まだ全部分かっていないところがあります。ただ、効くことは間違いありません。トラウマ記憶というのは、海馬記憶とは違うところに溜まっているようなんですね。普段は思い出すことはできないが、何かの引き金によってバーンと出てくる。それを処理するわけです」

   国谷フラッシュバックとよく言いますが、突然思い出すのですか」

   杉山教授「突然子どもが暴れだすのもフラッシュバックですし、親から生きていく価値がないと言われたのを自分の考えとして浮かんでくるのもフラッシュバックです」

   WHOによってEMDRは標準治療とされているが、日本の治療体制は遅れている。「EMDRに限らず、トラウマ処理のできる治療者は300~400人ぐらいしかいないのではないでしょうか。大学の臨床心理士の養成コースにトラウマ処理をきちんと入れていかないといけない。その点がまだ遅れているんです。専門家育成が急務です」(杉山教授)

   そして、杉山教授は「日本では虐待は多くないと言われてきましたが、とんでもありません。本当に多くて。子どものうちに治療するのが一番簡単に治療ができます。先手必勝ですね。発達障害も非常にトラウマが絡みやすい」と指摘する。

   昨今、親による虐待が後を絶たない。学校でのいじめ、教師による体罰も子どもによってはトラウマになる可能性もあるだろう。それが子どもの将来にどれほど辛い心のキズになって現れて来るのか、治療体制の充実と同時に親や教師の自覚が求められる。

NHKクローズアップ現代(2013年12月11日放送「心と体を救うトラウマ治療最前線」)

モンブラン

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