安倍首相・昭恵夫人の説得力「特秘法急いだ理由に何かある」「脱原発」「日韓関係よくしたい」

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<「デモができるということは健全な社会である証拠ですから、それをテロと言うことはちょっと許されないと思います。私には原発反対デモをしている知人もいますし」>

   これは『週刊現代』の「安倍総理夫人が夫への『違和感』を告白」の中で、昭恵夫人が「石破茂自民党幹事長がデモとテロはあまり変わらないといったが、どう思うか」と聞かれて答えた部分である。石破発言をしっかり批判した週刊誌はほとんどなかったが、昭恵夫人はさすがである。自分の亭主の政敵でも批判すべきところはキチンとするところが潔い。

   インタビュアーはジャーナリストの松田賢弥氏。松田氏はもともと週刊現代に籍を置いて仕事をしていたが、ここ数年は週刊現代を離れ、週刊文春の仕事が多かった。そのエース記者が古巣へ戻って、先日は菅義偉官房長官インタビューをやっていたが、これはどうということはなかった。だが、今週号の昭恵夫人インタビューはおもしろい。このインタビューのよさは、インタビュアーの突っ込みもあるが、ひとえに昭恵夫人の率直な受け答えにある。これほど現役総理夫人が『ホンネ』で語ったことはこれまでほとんどなかったと思う。いくつか紹介しよう。

   まずは希代の悪法「特定秘密保護法」を強引に通したことについてどう思うかと聞かれ、こう答える。<「最近、皆さんにそのことを聞かれます。たしかに大きな時代の流れとしては、情報の開示は進めたほうがいいと思うんですね。主人は時代に逆行してるように見えるかもしれない。

   けれども、国民をだまして戦争しようとか、そういうことではないと信じている。日本という国がきちんと独立していく過程で必要な法案であり、いま通さなくてはいけない理由が、何かあるんだと私は理解しています」>

   この「いま通さなくてはいけない理由」こそが問題なのだと、私もあちこちでいっているが、彼女もそう感じていることが読みとれる。

「『原発は安全で安い』と言われても、何か起きれば莫大なお金。安いとは考えられません」

   彼女は反原発派でも知られるが、亭主との違いを聞かれてはっきりとこう答えている。<「はい。もし、もう一度事故が起きれば、日本は終わってしまうと思うんです。以前、福島第一原発の20キロ圏内にも行きましたが、これだけの広範囲に未だに誰一人入ることができないという状況は、やはり普通ではないと感じました。(中略)

   子どもを持つお母さんたちは不安とストレスを抱え、風評被害は収まらず、除染も進まない。そんな状況で『原発は安全でしかも安い』と言われても。何か起きてしまえば莫大なお金がかかるわけですから、安いとは考えられません」>

   しかし、亭主は海外に原発を輸出するセールスマンになっているではないか。<「国内の事故が収束していないのに、外国に原発を売るというのは、私個人としてはなかなか心苦しいところがあります。(中略)

   主人は『中国製の原発の方が危険なんだから、日本製を買ってもらったほうがいい』と言っています。

   実際、そうなのかもしれません。でも理想としては、日本が原発に代わる技術を開発して、それを売り込むのが筋なんじゃないか、と思います。なかなか簡単ではないでしょうけれど」>

   中国の原発なんか買う国があるわけないじゃないか。彼女は韓流ファンとしても知られるが、やはりそうとうプレッシャーがあるらしい。<「この前、日韓交流のイベントに行ったと(フェイスブックに=筆者注)書き込んだら、炎上するほど批判が寄せられたりして、大変な部分もあります。(中略)

   私は以前からずっと、日韓関係をよくしたいと考えていましたから、韓国の方々が喜んでくださるならそれでいいかな、と個人的には思います。でも、最近は非常に(日本国民からの批判が)厳しいですね……韓国のことについて発言すると」>

   外交下手の習近平国家主席と安倍首相に任せていたら日中関係は進まない。男がダメなら女の知恵を借りてどうにもならないものを動かしてみたらいいのではないか。このインタビューを読みながら、そんなことをを考えた。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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