実の母と娘「凄まじい確執」過食と嘔吐繰り返し不安障害になった小島慶子
私のところもそうだが、母親と娘は仲のいいときは、男が入っていけないぐらいベタベタと睦まじい。だが、いったん口論が始まると、これほど始末の悪いものはない。嫁姑の仲違い問題はよく聞くが、実は実の娘と母親のほうが深刻なのである。嫁姑はしょせん他人だから、どこかで遠慮があるからだが、母と娘がケンカすると歯止めがきかなくなる。
『週刊朝日』は50代以上の母親と20~40代の娘の計1000人にアンケートをして、見えてきたものは「娘の1割が母親に支配されている」と感じているということだ。支配されていると思わないが75%もいるのだから、まあ、多くの母と娘はそれほど気にしてはいないようだが、相当深刻なケースもある。作家の村山由香氏が深刻な母との関係を語っている。
<「(中略)でも、母娘だからわかり合えるというのは幻想です。むしろ母娘だからわかり合えず、他人以上に根が深くなる。どうしても母の支配に苦しんでしまうなら、私は母を切り離していいと思います。罪悪感はもう、しょうがない。
母世代には、『愛することは支配すること』だと少しでもわかってもらえたらいいですね。望むと望まざるとにかかわらず、愛するほどに支配しているんです。(中略)
でも、その支配にしんどさを感じる娘たちは確実にいます。そのことを母親自身に気づいてほしい。理解できる人は少ないかもしれませんが」>
タレントでエッセイストの小島慶子氏も、母親との関係では苦しんだという。<「15歳のときに姉が結婚すると、母の関心が私に集中するのが怖くて拒食症になり、その後、過食と嘔吐を繰り返すように。母は知っていましたが、『吐きたくなるほど悩んでるのか?』と聞いてきたことはありません。
見たいものしか見ない人でした。娘は自分の延長線上にいる味方で、喜びも悲しみも一緒と信じて疑わない。悪気はなくて、ただ無邪気で無神経なんです。(中略)
次男出産後、職場復帰への不安も重なって不安障害に。カウンセリングで親子関係を見直した結果、私は母を、そして家族を『諦める』ことにしました。母を変えられないが、自分は変えられる。そうすれば見え方も変わる。その後7年間、母に会いませんでした」>
息子と父親の関係も難しいが、母と娘の関係はさらに複雑である。だいぶ前に女優の岸惠子さんと話しているとき、岸さんは自分の娘に嫉妬をすることなんかないんでしょうねと聞いてみた。すると岸さん、「ありますよ。年頃の娘の綺麗さに嫉妬しない母親はいないんじゃない」と答えた。こういうことも含めて母と娘の関係は男のあずかり知らぬところである。
【蛇足】週刊ポストで連載している「ビートたけしの21世紀毒談」が小学館新書から『ヒンシュクの達人』として出版された。帯に「悪口・暴言も、言い方ひとつで武器になる」とある。たしかに言葉は使いようで、武器にもなれば墓穴を掘ることにもなる。猪瀬直樹都知事、石破茂幹事長、この本を読んで「口撃」の仕方を学んだほうがいい。