「防空識別圏」勝手に設定!日中スクランブル合戦で空中衝突の危険
「本日、午前10時をもって、魚釣島(尖閣諸島)海域一帯に、防空識別圏を設定する。今後、この空域をわが国に許可なく通行することを禁じ、指示に従わない航空機に対しては防御的緊急措置を講じる」
11月23日(2013年11月)午前10時、中国国防部は東アジア諸国・地域を震撼させる発表を行った。日本が尖閣列島を国有化したことへの本格的な報復措置が始まったと、『週刊現代』の「スクープレポート すわ米中開戦か 習近平は本気で日本の航空機を撃墜する」で日本政府の外交関係者が語っている。
また、軍事評論家の世良光弘氏によれば、不法侵入した他国の航空機を撃ち落としてもよいというのは、海岸線から12海里(約22Kキロ)までに限るというのが国際常識で、今回のような広大な東アジア海域を、いわば『準領空』だと主張したのは非常識も甚だしいという。
これには安倍首相が怒り狂ったという。25日に開かれた参議院の決算委員会で「中国による力を背景とした現状変更の試みには、わが国の領海領空を断固として守り抜く決意で対応する」と答弁した。中国側も感情をエスカレートさせており、「これからの日中関係はまったく違う展開になるということです。まず、中国空軍の東シナ海における活動範囲が、これまでの12倍に拡大します。そのため、戦闘機や哨戒機などを大量生産し、防空ミサイルも続々配備する。(中略)逆に日本は、民間航空機が撃墜されるリスクも出てきた。日本側の覚悟が問われます」(産経新聞北京特派員の矢板明夫氏)
撃墜などという事態は考えたくないが、民間航空機が中国側から威嚇を受けるようなことがあれば、集団的自衛権行使を進めたい安倍首相にとって絶好の口実になり、ルビコン川を渡ることになるかもしれない。
『週刊文春』の「中国は世界の嫌われ者!」の中で、航空自衛隊幹部がこう懸念している。<「今回の防空識別圏の設定によって、海南島事件のようなケースが起きてしまうことです。日中の制服レベルのホットラインがない現状では、一度何か起きれば、事態がエスカレートしてしまいかねません」>
海南島事件とは2001年に中国南部の海南島から110キロの南シナ海上空で偵察活動を行っていた米軍の電子偵察機と、警戒にあたった中国軍の戦闘機が空中衝突した事件のことで、東シナ海上空に侵入する中国軍機が増えれば、このような事件が起きる恐れが高まるという。
アメリカもこの中国の発表に警戒感を強めているようだし、中国側の出方次第ではきな臭くなってくるかもしれない。