特定秘密保護法案をめぐる与野党の攻防はきょう5日(2013年12月)がヤマ場だ。与党はあす6日までの今国会会期中にけりをつけるかまえで、きょう午後1時から参院の国家安全保障委員会で3時間半の審議し、最後は強行採決、場合によっては本会議突破までを視野に入れている。
内閣の中にチェック機関―これで第三者機関とは本気で言ってるのか?
きのう午前の参院国家安全保障委員会で、安倍首相は突然「情報保全諮問会議」と「保全監視委員会」という2つの組織を持ち出し、「秘密指定のチェック機能」をはたすものだとした。しかし、野党議員は「こんな会議、初めて聞いた」というシロモノで、法案にも明記されていない。
諮問会議は有識者が秘密の指定・解除などの統一基準を作るというのだが、秘密の中身はチェックできない。結果は首相に意見として提出する。保全委はいわゆる「第三者機関」に当たるものだが、内閣官房に設置され、構成は外務、防衛、警察などの事務次官クラスに、官房長官、副長官も加わる。これが「特定秘密の妥当性を相互に監査する」というのだが、内閣の中に設置するのではとても第三者と呼べるものではない。
この日はまた、地方公聴会が埼玉・さいたま市で開かれたが、反対の市民らと警官隊がにらみ合うなどで開会が遅れ、共産党以外の野党はボイコット。開催の決め方も、「おととい(3日)の晩に、突然、与党の理事から『大宮で会場がとれました』と連絡が来た。居酒屋を決めるんじゃないんだから」(民主党・福山哲郎議員)という始末だった。
公聴会は採決の前提だが、福島での公聴会のあと「きのうの今日」で衆院は採決強行され、ただのアリバイづくりといわれた。参院でも同じことになるのは目に見えている。国会周辺も終日、法案反対のデモ隊のシュプレヒコールに包まれた。
午後に行われた党首討論では、民主党の海江田万里代表が「なぜそんなに急ぐのか」、みんなの党の渡辺喜美代表が「会期を延長すべきだ」と慎重な審議を求めたが、安倍は「どこかで終局になる」と突っぱねた。維新の会の石原慎太郎共同代表は逆に「毅然としてやってもらいたい」と、修正協議などいらないといわんばかりに、もろ手を挙げての賛成だった。
このあと開かれた参院本会議では、秘密保護法案以外の法案審議が日付をまたいだけさ3時55分まで続いた。秘密保護法案の修正協議は午前7時から与党とみんなの党、維新の会とで断続的に行われたが結論には至らず、午後1時からの委員会審議に持ち越された。