北朝鮮の中枢で何かが起こったらしい。韓国情報院はきのう3日(2013年12月)、ナンバー2の張成沢(チャン・ソンテク)・国防委員会副委員長の側近2人が公開処刑されたうえ、張本人も失脚したと明らかにした。今月17日は金正日総書記の命日で、ここで姿を見せる指導者たちの顔ぶれで確認することになりそうだ。
ナンバー2が目障りだった?元帥さま
張成沢は故金正日・総書記の妹・金慶喜氏の夫で、金正恩・第一書記の義理の叔父にあたる。金正日死去のあと、若い正恩の後見人として内政、外交に力を振るってきた。拉致問題の「実質的責任者」と目され、逼迫する経済の建て直しも指揮してきた。失脚が事実なら、北朝鮮の体制と政策に大きな変化となりかねない。
韓国情報院の情報では、処刑されたのは李龍河・行政院第1部長と張秀吉・副部長で、ともに張の直属の部下だった。しかし、処刑の理由は明らかでない。妻の金慶喜は「失脚までさせる必要はないのではないか」と反対していたという情報もあるが、最終的には「夫より体制を守る」非情な決定に同意したようである。
金正恩の判断に大きく関わったのが、人民軍の崔竜海・総政治局長とされる。もともと張との関係はよかったが、2013年上半期に正恩が行った95回の公開活動のうち、張が同行したのは25回に対して崔は72回で、崔の方が重用されていた。
軍部急進派の発言力強まり朝鮮半島緊張
ソウルの野村友弘記者がけさ4日の韓国メディアの報道を伝えた。失脚の理由は権力闘争に敗れた、ナンバー2の権力が大きくなり過ぎたなどさまざまだが、南北関係では張は穏健派と見られていたことから、今後は緊張が高まるとの観測もあるという。
「コリアレポート」の辺真一・編集長は「処刑は張氏の同意なくしてはできませんよ。張氏も監督責任があるはずで、あるいは張氏も関わっていたのかもしれません。更迭は妻の金慶喜氏の同意、党幹部の同意なしではできないから、同意したということでしょう」という。
司会の赤江珠緒「本当に失脚していたら状況は変わるのでしょうか」
辺「改革派でしたから、それが失脚したとなれば、軍の強硬派が追いやったということ。今後、核とかミサイルとかで強硬な態度を見せる可能性もあります。日本にとっては、拉致問題も後退するだろう」
ただ、今回の情報には辻褄の合わない部分がいろいろあり、失脚説を否定する見方も依然としてある。金正日総書記の命日の17日にだれが顔を見せるかで判断するしかなさそうだ。